助動詞は動詞と結びついて意味を追加します。品詞については以下の記事を参照してください(すずちゃんをクリック!)。
used toとwouldは過去の習慣的動作を表わしますが、現在との対比を強調したいときはused toを使います。例えば「昔はやんちゃだったが…」と若い頃の不良自慢する場合はused toを使います(大人になった今も不良でない限り)。それに対してwouldは現在と対比するニュアンスがありません。wouldは昔のことを淡々と述べているイメージです。
used to
過去の習慣的行動 「~したものだった」
used toは現在との対比に重点が置かれ、現在はその習慣や状態がない場合に用いられます。「(今はそうではないが)以前はよく~したものだった」
『魔女の宅急便』でカラスに追いかけられた後にジジが「あーあ、魔女も落ちぶれたものだよ。カラスは魔女の召し使いだったのにさ。」と言います。「昔は魔女につかえていたのに、今は…」という現在との対比がなされているので、wouldではなくused toを使わないといけません。
Frankly, I think this is a major insult. Crows used to serve witches and do what you told them.
frankly=率直に言って; major=大きな、ひどい; insult=侮辱; crow=カラス; serve=~に仕える; witch=魔女
英文は「率直に言って、これはひどい侮辱だよ。昔はカラスは魔女に使えて、魔女の言うとおりにしたものさ。」といった意味になってます。
過去の継続的状態 「以前は~だった」
主語が人ではないと、used toは「(今はそうではないが)以前は~であった」という過去の継続的状態を表わします。釜爺が千尋に「間違えるなよ。昔は戻りの電車があったんだが、近頃は行きっぱなしだ。それでも行くか千?」と言いますが、昔と今の違いが対比されているのでused toが使われています。
Make sure you get it right. The train used to run in both directions, but these days it’s a one-way ride. Still want to go?
make sure=~を確かめる; get it right=正しく理解する; in both directions=双方向に; these days=最近; one-way=一方向の、片道の; ride=乗車。Still want to go?はDo you still want to go there?の省略された形です。
would
助動詞willの過去形がwouldです。時制の一致で主節の動詞が過去形の時は従位節のwillは過去形のwouldになります。
He says that he will definitely not be late next time. (彼は今度は絶対に遅れないと言っている) ➡ He said that he would definitely not be late next time. (彼は今度は絶対に遅れないと言った) (『実践ロイヤル英文法』p.511)
wouldは多義語ですが、特に重要なのが①弱い推量、②過去の習慣、③過去の強い意志、④丁寧な依頼・勧誘の4つです。
弱い推量 「~だろう」
『実践ロイヤル英文法』にはなぜかwouldの項目でなぜか「推量」の意味が載っていません。しかし非常に重要な意味なのでよい子はしっかり覚えてください。willとwouldはwillは「たぶん~だろう」という意味で話し手の推量を表わします。wouldはwillよりも控えめで丁寧な言い方です。willよりも推量の程度も弱いです。
サツキとメイのお母さんが数日間、病院を出ることになります。そこでカンタのばあちゃんが2人に 「そうかい。んじゃ、どんどん食べてもらわなくちゃ。」 と言います。
If your mom eats my vegetables, I bet she‘d get well right away.
mom=mother; I bet=I’m sure; she’d=she would; get well= 〔健康状態が〕よくなる、〔病気が〕治る ; right away=immediately
she’dはその後の動詞が現在形なのでshe wouldの省略形であることがわかります。 she’d gotten…のように過去完了だとshe hadが省略された過去完了の文ということになります。
過去の習慣 「よく~したものだ」
wouldはused toは共に過去の習慣を表わしましたが、used toとは異なり、wouldには現在と対比するニュアンスはありません。
Back when I was 8 or 9 and wanted to be a nun, I would often stop at church on my way home from school. ─Ann Hood
小説家のアン・フッドの言葉です。「私が8歳か9歳だった頃、修道女になりたかった。学校から帰る途中でよく教会に立ち寄ったものだわ。」
back when=~だった頃; nun=修道女; stop at=~に立ち寄る; church=教会; on one’s way home from school=学校から帰る途中
ここでI used to stop at church…と書くと、今は教会に訪れることはないことが示されます。wouldだと今はどうなのかわかりません。また、wouldは多義語なので文の中に過去の習慣であることが示唆されないと「過去の習慣」という意味でwouldが使われているかどうか判断がつきにくいです。そのためこの意味で使うときは過去の時を示す副詞語句を加えるのが望ましいです。ここでは「しばしば」という意味のoftenがあるので、ここのwouldは「過去の習慣」であることがわかります。
過去の強い意志・拒絶
現在の意志を表わすときはwill、過去の意志を表わすときはwouldを使います。ただし意志のwouldは否定形で使われることが多いです。その場合は「拒絶」を意味します。
She would not admit him into her apartment. 彼女はどうしても彼をアパートに入れさせなかった。
丁寧な依頼・勧誘 「~してくれませんか」
Would you…?の形で「~してくれませんか」という意味で、相手に依頼できます。Will you ….?でもかまいませんがWouldの方がより丁寧で控えめなニュアンスがあります。pleaseを加えるとさらに丁寧になります。
『天空の城ラピュタ』でシータが飛行船の台所を掃除しているとドーラの息子の一人であるルイが手伝いに来ます。「まぁー、ありがとう。じゃ、そのお皿しまってくださる?」
Well, that’s kind of you. Would you please hand me those plates over there?
hand A B=AにBを手渡す; plate=(通例浅くて丸い)皿; over there=あそこに(ある)
ちなみにこの時ルイは25歳。25歳の青年が13歳の女の子に近づこうとしていいんですかねえ。
I would like to… 「~したいものだ」
定番の表現なので必ず覚えて使えるようになりましょう。I want to…とほぼ同義ですが、I would like to…だと丁寧で控えめなニュアンスが生まれます。小さな子供が「~したい」と騒ぐときはI want to… (もしくはwant toを省略してI wanna…)で良いですが、大人のあなたはI would like to…と言いましょう。
小説を書き終えた雫が宣言します。 「ご心配をおかけしました。今日からとりあえず受験生にもどります。」
I’d like to make a formal announcement. I’ve decided that I want to attend high school. I’ll start studying tomorrow.
formal announcement=公式発表; attend=go to
大けがをしたゴンザを町に連れ帰ったアシタカに礼を言いたいとエボシが述べます。「ゴンザッ!あとで礼を言いたい。客人を案内しなさい」
Gonza? Bring the stranger to me later. I would like to thank him personally.
bring A to B=AをBの所に連れてくる; stranger=見慣れぬ人; thank=~に感謝する; personally=個人的に、自分自身で
Would you like me to…? 「~しましょうか?」
困っている人を見かけて「お手伝いしましょうか?」と声をかける時に使いたくなる表現です。オソノのパン屋さんであるお客さんが赤ちゃんのおしゃぶりを置き忘れてしましいました。「奥さーん 忘れ物!奥さーん! ああ 困ったねえ。これがないとあの子大泣きするんだよ。」それを見たキキがオソノにこう言います。「あの… 私でよければ届けましょうか?」
“Hey there! Your pacifier! Ma’am, you forgot your baby’s pacifier!…”
“Excuse me. But would you like me to deliver it for you?”
pacifier=おしゃぶり; forget-forgot-forgotten=~を忘れる; deliver=~を配達する、届ける; for you=あなたのために
I would appreciate it if you… 「~してもらえると非常に助かるのですが」
日常会話でも非常によく使う表現です。何かを頼むときにこの表現を使います。直訳すると「もし~してくれたら私はそれに感謝するのですが」となりますが、「~してもらえると非常に助かります」→「~してもらえないでしょうか」という意味になります。
ソフィーが大掃除をはじめ、巻き添えを食って自分の火が消えるんじゃないかと慌てるカルシファー。「やばいよ、あ、危なーい!あぶなっ、う、落ちる、う、あ、やばい…… あ、お、落ち……あー!」そこへハウルが帰ってきてソフィーにこう言います。「ふうーっ。 友人をあまり苛めないでくれないか。」
“Sophie, hurry up, please. Hurry, please. P… P… Whoa!”
“I’d appreciate it if you didn’t torment my friend.”
hurry up=急ぐ; torment=~を苦しめる