My Neighborhood Totoro│ 英語版『となりのトトロ』
『となりのトトロ』を英語で視聴したことがあるでしょうか? 英語タイトルはMy Neighborhood Totoroです。日本で販売されているトトロDVDも英語が収録されていますが、セリフと字幕の英語が不自然だったりしてあまりお勧めできません。ぜひ北米で市販されているトトロのブルーレイディスクを購入して視聴してください。以前は個人輸入しないといけませんでしたが、今は輸入盤も日本のアマゾンなどで購入できます。そして、なんと輸入盤はブルーレイとDVDが2つはいって、日本のよりもはるかに安いです。海外ブルーレイディスクとDVDの視聴法がわからない人は以下の記事をお読みください。
ほとんどの人は日本のアニメを英語で視聴したことがないでしょう。そこで今回は『となりのトトロ』英語版に出てくる名セリフをいくつか見てみます。
Come out, come out, wherever you are!
「まっくろくろすけ出ておいで!」
「まっくろくろすけ」はいろんな訳があるのですが、一番よく出てくる訳はsoot gremlinです。sootは「すす」のことです。gremlinはハリウッドの映画のタイトルにもなりましたが、機械などの中に入って、悪さをする小悪魔をgremlinです。「まっくろくろすけ」は特に悪さをしないのでgremlinと訳されるのはちょっと無理がありますね。come outは「出てくる、外へ出る」、wherever you areは訳しづらいですが、ニュアンス的には「あなたがどこにいても」という感じです。
You’ve got soot sprites in your house.
「こりゃススワタリが出たな。」
カンタのおばあちゃんは「まっくろくろすけ」のことをsoot spriteと言っています。spriteは「妖精」です。この妖精は羽を持っています。こんな感じです。
ちなみに炭酸飲料のスプライトもSpriteです(固有名詞なので最初の文字は大文字になります)。「まっくろくろすけ」はgremlinでもspriteでもない感じですね。You’ve gotのhave gotはhaveと同じ意味で「~をもっている」という意味です。
He was furry, with a great big mouth. There was a little one, and a bigger one, and a huge one that kept falling asleep.
「こんなのと、こんくらいのと、こーんなにおっきいのが寝てた。毛が生えて、こーんな口してて。」
トトロに出会ったメイは、サツキにそのことを話しています。furryは「(動物が)毛皮で覆われた」という意味です。withは「~を持った」という意味の前置詞。トトロには小さいのと中くらいのと大きいのがいますが、ここではa little one, a bigger one, a huge oneという表現で区別されています。a bigger oneは「大きなトトロ」という意味ではありません。「a little oneよりも大きなトトロ」ということです。keep …ingは「~し続ける」、fall asleepは「寝入る、眠り込む」、keep falling asleepは「寝続ける」という意味になります。
-Last one home’s a rotten egg!
「うちまで競争!!」
-Hey, no fair!
「あっ、ずるいー!」
「うちまで競争!」がLast one home’s a rotten egg!と訳されています。英語にLast one in is a rotten egg. (置いてきぼりは腐った卵)という表現があります。rottenは「腐った」。rotten eggは文字通り「腐った卵」という意味になります。腐った卵は臭いのでみんな嫌がります。何かをする際に一番遅れたやつはrotten eggと言って、みんなを急がせるときにこのイディオムを使います。
We’d like to share your roof for a while, sir, if you don’t mind.
「お地蔵さま、ちょっと雨宿りさせてください。」
sirは目上の人に対する敬称です。日本語は敬語が発達していると言われますが、日本人で英語がうまい人の中でも、sirという表現をうまく使いこなせている人はあまりいない感じです。I would like to do…やWe would like to do…「~したいのですが」という意味。I want to do…、We want to do…を丁寧にした表現です。share your roofは直訳すると「あなたの屋根をシェアする」という意味です。for a whileは「少しの間」、if you don’t mindは「あなたが気にしなければ」転じて「差し支えなければ」という意味になります。
Dear Mom. We had such a weird, mysterious, spectacular day. My heart is still pounding. Totoro gave us a wonderful present. It was wrapped in a bamboo leaf and tied with a ribbon made of grass. As soon as we got home, we opened it. It was filled with acorns. We wanted to grow a beautiful forest with the acorns, so we planted them in your garden out back, but it’s starting to make her crabby. Here’s a picture of Mei as a crab. Summer vacation is almost here, and I can’t wait to play outside with you.
「お母さん、まだ胸がドキドキしているくらいです。とても不思議で、不気味で、楽しい一日でした。それにトトロのくれたお礼も素敵だったの。笹の葉でくるんで、竜のひげでしばってある包みでした。うちに帰ってから開けてみました。そしたら、中から木の実が。おうちの庭が森になったら素敵なので、木の実は庭にまくことにしました。まるで猿蟹合戦の蟹になったみたい。もうすぐ夏休みです。早く元気になってください。お母さん様。」
トトロに出会った後にサツキがお母さんに宛てた手紙です。単語の意味だけを説明しておきます。
weird 奇妙な very strange and unusual
spectacular 目を見張らせるほどの very impressive
pound (心臓の)鼓動が鳴る
be wrapped in ~に包まれている
bamboo leaf 笹の葉
be tied with ~で結ばれている
(be) made of ~で作られている
grass 草
as soon as ~すると同時に、~するとすぐに
get home 家に着く、帰宅する
be filled with ~でいっぱいでする
acorn どんぐり
plant ~を植える
garden 庭
out backはおそらく自宅から見て外なのでout、家の裏にあるからbackという意味なのでしょう。
crabby ご機嫌斜めの easily annoyed by unimportant things
crab カニ
summer vacation 夏休み
play outside 外で遊ぶ
「猿蟹合戦の蟹になったみたい」をそのまま英訳しても、英語ネイティブにはどういう意味なのかまったくわからないでしょう(注: 私も猿蟹合戦の内容を知らないので猿蟹合戦の蟹がどういうのかまったくわかりません)。そこで翻訳者は原意をまったく無視してまったく違うセリフにしています。カニはcrabと言いますが、その形容詞のcrabbyは「ちょっとしたことでイライラする」を意味します。そこで翻訳者は、メイが芽がちっとも出ないことにいらいらしている、だから私はカニの絵を描いてみました、という意味のセリフに変えています。
Mei, we’re the wind!
「メイ、わたしたち風になってる!」
「わたしたちは~になっている」はwe are becoming…ではなく、we are…と訳されています。英語セリフを直訳すると「メイ、私たちは風よ。」となります。
She’s going to sleep with me in my bed.
「メイのお布団で一緒に寝るんだよ。」
ここでのsheはお母さんのことです。be going toはwillに変えることもできますが、be going toは「前もって考えられていた意図」、「確信のある予測」を表わすので、ここではbe going toの方が適訳です。「お布団」がbedと訳されていますが、文字通り「ベッド」だったらon the bedと言ってもかまいません。ベッドという寝具の上に寝るというイメージです。ただし、ベッドで寝る場合でも、in the bedと言えます。この場合は毛布などの中に入って寝るというイメージになります。床に敷布団を敷いて寝る場合は、on…(~の上に)とは言いにくいです。日本風に布団で寝る場合はin… (~の中に)の方がよさそうです。
It’s not fair!
「やだー!」
「嫌だ」はI don’t like it. や I don’t want to do it. などの訳が考えられますが、ここでは「フェアでない」とメイは言っています。何がフェアでないかと言うと、お母さんが風邪を引いたため、週末に帰ってくるという予定がキャンセルになったことについてです。なぜそれがアンフェアと感じられたのかは不明ですが、「私のお母さんだけ病気で私だけお母さんに甘えられない」という意味でもアンフェアになりますし、メイの捉え方によっていかようにもアンフェアということになりそうです。
You want her to die? Is that what you want? You’re such a baby! Just grow up!
「じゃ、お母さんが死んじゃってもいいのね。メイのバカ! もう知らない!」
お母さんが週末に帰ってこないことになって駄々をこねるメイにキレるサツキ。want A to doは「Aが~することを欲する」。suchは訳しづらいです。「そんなに」とよく訳されますが、ここでのsuchはただの強調です。英英辞典にはused to emphasize your description of something or someoneという説明が載っていますが、要するに You are a baby! のa babyを強めるためにsuchが加えられています。「メイのバカ! もう知らない!」は英語セリフでは「本当に赤ん坊なんだから! もっと成長しなさい!」という意味に変わっています。
I shouldn’t have yelled at her. This is all my fault.
「メイのバカ。すぐ迷子になるくせに。」
直訳すると、Mei’s stupid. You get lost easily. とでもなるのでしょうが、英語版ではセリフの内容がまったく変わって、「彼女に怒鳴るべきじゃなかった。すべて私のせいだわ。」という意味になっています。should have+過去分詞は「~すべきだったのに(しなかった)」を意味します。
Who left this?「だれだろう?」
I thought I saw Satsuki and Mei smiling at us from up in that tree.「今、そこの松の木で、サツキとメイが笑ったように見えた。」
It sounds crazy, but maybe you did. 「案外そうかもしれないよ。ほら。」
最後のシーンです。サツキとメイがトウモロコシをお母さんの病室の窓の所に置きますが、お父さんがそれに気づきます。leftは「~を置く」という意味のleaveの過去形です。from upは「上(の方)から」。soundは第2文型で「~のように聞こえる」。maybe you didのdidはsawの言い換えです。お母さんは見間違えたと思っているのですが、お父さんは本当に見た可能性があるということでmaybe you didと言っています。
『となりのトトロ』英語版には覚えておきたい英単語・英熟語・英語構文が数多く出てきます。また英文法の学習に使えそうなセリフもよく出てきます。そのため『6カ月で英単語・語法・英文法完全マスター』講座でもトトロアニメのセリフを多数収録しています。
『となりのトトロ』でさらに英語を学習したい方は以下の記事もお読みください。