英語の時制
英語の時制と言えば、現在時制・過去時制・未来時制が思いつくでしょうが、それに進行形・完了形・完了進行形を組み合わせると12の時制が成立します。「私はすずちゃんを抱きしめる」は時制を変えれば12通りの表現ができます。
現在時制
現在時制は「今は~である」という「現在の状態」を表わすと考えがちですが、それ以外の①過去から現在まで続いていること、②過去と未来を含むいつの時代にも当てはまること、③現在進行中の動作、④確定的な未来、⑤過去のこと、にも現在時制を使うので注意してください。①は現在完了、③は現在進行形、④は未来時制、⑤は過去時制に必ずしないといけないというわけではないということです。こう書くと非常にややこしく感じられるかもしれませんが、日本語的な語感でも割と容易に対応できるので、現在時制の用法を細かく暗記しようとする必要はありません。「こんな感じなんだ」という程度のイメージを持てれば十分です。
過去から現在まで続いていること
現在の習慣的な動作はある過去の時点から現在まで続いていますが、特にいつの時点からということに焦点が当てられないときは、現在完了ではなく現在時制で表されます。
I use a notebook instead of a desktop computer.
(私はデスクトップ・コンピューターではなくノートブックを使っている)
過去と未来を含むいつの時代にも当てはまること
真理などの過去・現在・未来を通じて変化のない事実は現在時制で表されます。
The sun rises in the west and sets in the east.
「西から昇ったお日様が東へ沈む」という『天才バカボン』での真理は現在形で表されます。太陽は50億年以上前は存在せず、いずれ消滅する運命にありますが、そういう細かい所は無視されて、太陽の存在と運行は永遠の真理扱いされます。
現在進行中の動作
現在行われている動作は現在進行形で表すと習うはずですが、実際には現在形が代用されることがあります。
I promise not to do it again.
いま約束をしているにもかかわらず、現在進行形のI’m promising…ではなく、現在形で約束しています。
確定的な未来
まだ起きていないことでも、確実に起きることは現在形で表してかまいません。
I go to Sendai tomorrow.
whenやifなどの時・条件を表わす副詞節での動詞は本来は未来に関わることなのに現在形で表します。わりと重要な文法的事項ですが『実践ロイヤル英文法』では22B(5)② (p.56)で軽く取り上げられているだけなので注意してください。
I’ll call you as soon as I get to Paris. (パリに着きしだいお電話します)
I will help you if you come early. (早めに来たら手伝ってあげます)
パリに着くのも早めに来るのも確定的ではない未来のことです。にもかかわらず時・条件を表わす副詞節では、未来のことであっても実際にあることと仮定して現在形が用いられます。ここで副詞節というのにも注意してください。 動詞・形容詞・副詞・文全体を修飾する従位節が副詞節です。 文の主語・目的語・補語になる従位節は名詞節と呼ばれますが、名詞節では未来のことは未来の表現で表します。
Betty wants to know if $500 will be enough. (ベティーは500ドルで間に合うかどうか知りたがっている)
過去のこと
特に小説で過去に起きたことをあたかもいま目の前で起こっているかのように描写するために現在時制を用いることがあります。
過去時制
過去のある時期に存在した状態を表現するのに過去時制が用いられます。現在時制よりも過去時制の方がはるかに単純でわかりやすいですが、過去のことが現在まで続いているときには過去形ではなく現在完了で表現されることには注意してください。
Suzu was my girlfriend.
未来を表わす表現
未来を表わすときは通常、willもしくはbe going toで表現します。どちらも後に動詞の原形が続きます。受験英語ではあまり習いませんが日常会話ではbe going toはbe gonnaと短縮されることが多いです。I’m going to visit New York. は I’m gonna visit New York. と言う方が自然です。
will+動詞の原形
「will+動詞の原形」で未来を表わします。
単純未来
話し手や主語の意志とは関係なく、自然の成り行きで起こるであろうことを単純未来と言います。
Suzu will be 21 next June.
意志未来
話し手の意志・意図を表わすときにwillを用いますが、be going toとは異なり、willの場合はあらかじめしっかり考えたものではなく、話しているその場で生じた意志・意図を表わします。
I will do my best to pass the entrance examination.
受験勉強の決意を強く主張する場合はwillよりもbe going toを使う方が望ましいです。誰かとの会話で、「4月から高校3年生になるけど何かプランはあるの?」と聞かれたときに、「受験勉強がんばるつもりだ」と返答するときは、上の英文のようにwillを使う方がより自然です。
be going to
主語の意図を表わす場合 「~するつもりである」
話す前からすでにするつもりでいたことを表わすときはwillよりもbe going toを使うのが望ましいです。
I will study abroad next year.
I am going to study abroad next year.
後者の方が「俺は絶対留学するからな」という決意表明がしっかりしているニュアンスになります。
事実として述べる場合 「~になる、~をする」
She is going to go to college.
「彼女は大学に行きます」の英訳です。She goes to college. だと「彼女は大学に行っています」(彼女は大学生ということです)という意味になりますが、まだ大学受験に合格していなくても、彼女が「私は大学に行くわ」と言っていれば、確定的な未来の事項としてbe going toを使います。これが She will go to college. だと「彼女は大学に行くらしい」といった弱い意味になります。ちなみに主語が1人称のIやweだとbe going toの意味が主語の意図もしくは確定的な事実のいずれかがわかりにくくなります。