助動詞は動詞と結びついて意味を追加します。品詞については以下の記事を参照してください(すずちゃんをクリック!)。
shall
shallは重要度の低い助動詞です。古めかしい印象があるためアメリカではあまり使われなくなっています。ただしまったく使われないわけでもないので、自分がスピーキングやライティングで使えるようになる必要はありませんが、リーディングやリスニングで相手が使ったときに意味を理解できる程度にまでは習得する必要があります。shallは多義語ですが、以下、特に重要な意味だけ取り上げます。
話し手の意志
主語がIやweの1人称の場合、shallは話し手の決意を表わします。「~するつもりである」と訳すればよいです。
『ハウルの動く城』のラストの場面で、カブ王子が「戦争が終わりましたら、また伺いましょう。」と述べます。この場面でshallが使われています。
“So as soon as this war is over, I shall return.”
as soon as=~するとすぐに; over=終えて; return=戻る
このI shall return. のshallは話し手の意志を表わしているので、同じく話し手の意志を表わすwillやbe going toを使って、I will return. もしくは I’m going to return. と言うことも可能ですが、shallの「意志」は「自由意志」だけでなく神の意志を含む運命的な定めで自分はこうするんだというニュアンスがあるため、willやbe going toに言い換えると語感が多少変わってしまいます。
申し出・提案
「~しましょうか」と相手に申し出る場合は、Shall I…?もしくはShall we…?と言います。
Shall I make some coffee? (コーヒーを入れましょうか?)
Shall we have another game? (もうひとゲームしようか)
What shall I [we] do? (何をしましょうか?)(『実践ロイヤル英文法』p.96)
『天空の城ラピュタ』で泣きじゃくるシータにおばあさんがこういいます。「それは困ったねえ。そうだ。シータ、いいことを教えてあげよ。困ったときのおまじない。」
Well, well, now, what shall we do? Sheeta, maybe grandma should teach you a spell ─ one that will help you when you’re in trouble.
grandma=祖母; teachは「AにBを教える」という意味の第4文型の動詞; spell=呪文、まじない; be in trouble=困っている
「それは困ったねえ」が「何をしようか?」という意味に変わっています。maybeの意味については以下の記事をお読みください。
should
shouldはshallの過去形ですが、shallの過去形として使われることはほとんどありません。しかし「~すべきだ」(義務・必要)と「当然~のはずだ」(推量・当然)の意味で非常によく使われるのでしっかりマスターしてください。
義務・必要 「~すべきだ」
この意味でmust, have to, should, ought toが使われます。それぞれの語感の違いはありますが、「この文脈ではこの助動詞以外を使ったら間違い」というほどの語感の違いはないので、まずは違いにこだわらずにしっかり一つずつ用法を覚えていきましょう。
フィオが空賊の男たちにキレています。「あなた達、恥ずかしくないのかって言ってるの!」
Where’s your honor? You all should be completely ashamed of yourselves.
honor=名誉、自尊心; completely=完全に; be ashamed of oneself=自分を恥じる
「あなたたちの名誉はどこにあるの? あんたたちみんなとことん自分を恥じるべきだわ。」
否定形のshould not (短縮形はshouldn’t)は「~すべきでない」という意味になります。ハクが千尋に現世界に戻れと言ったときにshouldn’tを使っています。「ここへ来てははいけない!!すぐ戻れ!」
“You shouldn’t be here. Get out of here now!”
Get out of hereは「ここから出て行け」という意味です。「ここへ来てはいけない」が「ここにいるべきではない」という意味に変わっていますね。
推量・当然 「~のはずだ」
ought toと同義語ですが、shouldの方がはるかによく使われます。mustも「推量・当然」を意味しますが、mustの方が推量の確信度が高いです。mustだと「絶対~のはずだ」、shouldだと「きっと~のはずだ」程度の違いです。
ソフィーが火の悪魔カルシファーにこう言います。「ならカルシファー、あんたあたしにかけられた呪いを解けるの?」
A fire demon. Well, then you should be able to break my curse.
fire demonは「火の悪魔」、break A’s curseは「Aの呪いを解く」という意味です。日本語セリフでは疑問形になっている箇所が英語版では「だったらあんたは私の呪いを解けるはずだ」という意味に変わっています。
「should have+過去分詞」 「~すべきだったのに…しなかった」
「should have+過去分詞」はよく使われるのでしっかり用法を覚えましょう。「should+動詞の原形」だと「~すべきだ」、「~のはずだ」が 「should have+過去分詞」 だと「~すべきだった」、「~のはずだった」の過去の意味になりますが、すでに終わったことに関してそう言うことはつまり「やらなかった」というわけです。そこに注目して文意を理解する必要があります。パズーがドーラらにこう言います。
「そうさ。ぼくがバカじゃなくて、力があれば守ってあげられたんだ。」
Maybe you’re right. I should have protected Sheeta, but instead, I was stupid and angry. foolish or unwise.
protect=~を守る; instead=代わりに; stupid=foolish=unwise=愚かな
I should protect Sheeta. だと「ぼくがシータを守るべきだ」という意味ですが、これがI should have protected Sheeta. だと「ぼくがシータを守るべきだったのにそれができなかった」という意味になります。