2017年8月に知り合いのテレビ関係者の人から突然電話がかかり、近くの整骨院に診察に行ってくれないかと頼まれました。フジテレビの番組で柔道整復師の保険診療の不正請求を報道したいが、数年前に暴力団が関与した大規模な不正請求があって以来、関東の整骨院(関東では整骨院よりも接骨院ということの方が多いそうですが)はどこも慎重で調査しづらいからだそうです。「香川県議員の海外視察の番組見ました?」と言われたので「見た」と答えると、同じ番組で企画案を出したいそうです。フジテレビの「実録!金の事件簿」です。香川県議が960万円の税金を使って海外視察の名目で海外旅行をしたことを暴露した番組です。
「あー、別にいいですよー。」と返事したら、できればICレコーダーも持って行って録音してくれと言われたので、アマゾンで3,000円くらいするICレコーダーを買って、昔行ったことのある整骨院を訪れました。
2017年8月29日午後に某整骨院を訪問。この整骨院には以前肩こりで通っていたことがあります。当時、肩こりで健康保険証は使えないことは知らなかった頃の話です。最後に通ったのは2011年の4月だったので6年ぶりです。
以下が柔道整復師との会話のスクリプトです。〇〇は固有名詞なので隠している箇所、…は録音を聞いても聞き取れなかった箇所です。
00:59 私: (受付で)こんにちは。久しぶりなんですけど、…肩こりで
01:17 受付女性: 本日、保険証はお持ちでしょうか。
01:18 私: はい。
01:20 受付女性: お預かりしてもよろしいでしょうか。
01:22 受付にいた柔道整復師: 診察券はお持ちでしょうか。
01:23 私: いや、もう五・六年前ですから。
(紙をもらい、名前・症状等を記入中。今の住所を覚えていないので受付に行って保険証を確認する)
03:50 私: 住所を保険証に書いているので
(すべて記入して紙を渡す)
03:57 受付女性: お疲れさまでした。
05:07 柔道整復師: 〇〇様。
(ベッドのあるところに連れていかれる)
05:14 柔道整復師: ちょっとお話を聞かせてもらっていいですか。
05:17 私: はい。
05:20 柔道整復師: 首、肩の、えー肩から背中のこりということなんですが。つまり、ちょっとおかけになってお話をちょっと。えーとですね、肩のこりという形ではですね、あの保険が今ちょっともう承認が厳しくなってですね、えー肩こりとか、あのふつうの単なる腰痛という場合には保険の…きかなくなるですよ。
05:42 私: あ、はい。
05:42 柔道整復師: で、…私どもの場合にはですね、肩こりもえー何らかの慢性的な原因によってですね、慢性的な疲労が加わることによる肩のまあ挫傷、捻挫っていう言い方をしますけど、捻挫でしたり、えーまあ挫傷ですね。これまあ普通な言葉でいうと肉離れというものになるんですけど。筋肉の損傷という形ではないというかたちでですねえ、えーまああのう普通にこう捻挫とか、えー挫傷と言いますけど、急性な場合、まああいわゆるスポーツをしてて急に…というようなあのうになるんですけど、…慢性的な治療、あのう慢性的な原因によっておこる捻挫という形でえーやっていくんですけど、そういう形で保険の方を使いになられたいということですよね。基本的にではですね
06:41 私: はあ
06:41 柔道整復師: で、あのうそうなるとちょっと傷病名というのがついてですね、えーまあ首肩ですと、頸部とか肩部のえー捻挫という形で、どのような症状が出ているかということで、あの、まあそういう怪我の場合にはちょっと原因がありますので、あの例えば、えー、いつも慢性的にパソコンする姿勢が悪いことによってそういう筋肉の
07:14 私: …最後に来たのがちょうどあの大震災が起きた頃で、
(六年前は何も説明なしに保険証を使えたので、今は細かい説明があるんだなあと思いながらの発言です)
07:15 柔道整復師: あー、なるほど
07:17 私: ちょっと感じが変わっているですかね。六年前…
07:18 柔道整復師: えーとですね、そうですね、あのー、あの後くらい、あの後というか、あのころからもだんだんという感じなんですけど、いわゆるあのー、まあちょっとお聞きになったことあるかと、東京の方でちょっと暴力団絡みのいわゆる整骨院からの不正請求とか、そんなことがはい、話題になりまして、はい、あのー…はっきりわかったのが数年前なんですけど、そういうのでかなりそのー保険の適応に関してですね、厳しくなってきてるんですよ。…まあ審査としてはあの…それでもいまからですね、あのたぶん照会というものがくるんですよ。…はい、で、どういう原因でその整骨院にかかられましたかということがあるので
08:19 私: それってみんなに来るんですか。
08:20 柔道整復師: えーとね、
08:24 私: 〇〇区の〇〇整骨院近くに… 〇〇整骨院というのが、…そこに行っていた時は別に何もなかった…
08:30 柔道整復師: あのー、ですから今はですね、それが任意に来るようになっています。
08:32 私: 任意というのはどういう?
08:33 柔道整復師: 来たり来なかったり
08:34 私: あー来たり…
08:34 柔道整復師: 来る方来ない方がおられるので必ず来るというわけではないでけど、来られたときにですね、まあ簡単に言うと、えーと慢性的な肩こりですという風な形で返事をしてもらうと、まあそれは保険適用が効きませんという形になってしまう。
08:48 私: そこになんかここに連絡してくださいとか…
(受付のデスク前面に照会が来たら連絡してくださいという張り紙が貼ってあります)
08:49 柔道整復師: そうですね。はい、そちらに書いてある、えーとですから、あの問い合わせというのが来た場合にですね、えーとまあ今回、場所からするのと、場所的なものとですね、まあいわゆるそういう姿勢が悪いというか、パソコンとかそういうので、的な業務でえー肩とか背中の背部の方に痛みがあるんですよね。まーこれはもう日時はえーと慢性的な原因ですから、何時何分にその急にガキっと痛めたというわけではないですけど、まあ一応ですね怪我のあのー、まっ発生の日時というのがどうしてもそういう時の場合にどうしても出てくるんで、一番近々にこう強く感じたのは
09:30 私: 一週間ぐらい前からちょっとまた通わないといけないなあと…
09:33 柔道整復師: なるほどですね。それではですね、ちょっと日にちをちょっとまああれですけど、8月の例えば今日29、25日、8月の25日のお昼頃という形でその最初に痛みを感じて、えー怪我が発生したという形でやらせていただいてもけっこうですか。
08:56 私: はい。
08:56 柔道整復師: はい…お仕事は?
10:01 私: 仕事は翻訳をやってて、パソコンをやってて
10:06 柔道整復師: じゃあ自宅で、自宅でまあまあ仕事場となるとですね、…自宅でまあえー…パソコン業務ですね。パソコン…それが多いということですね。はい、じゃあまあな姿勢をこうずっとすることによりですね、頚肩部の捻挫という形で治療を進めていかせてもらっても大丈夫ですか。で、同じで例えばほかの整形外科に通っておられるとか、別に治療を受けておられるとかそういうことは…
10:50 私: あのー、〇〇整骨院に行ったのがもう4年ぐらい前で
10:54 柔道整復師: あっなるほどですね。あっ、はいわかりました。はい、じぁあえっとーちょっと首・肩のちょっと動きを確認させてもらってもいいですか。
こんな感じでただの肩こりなのに保険診療になってしまいました。初診料は910円です。次回からは安くなるという説明がありました。さっそく録音ファイルを依頼者にEメールで送ると、「頂いたデータを基にフジテレビ報道と打ち合わせいたします。上手く報道できる様に努めます。また、個人情報は保護いたしますので、ご心配なく。」という返事がありました。
企画案は通ったらしく、9月にフジテレビのスタッフから電話がかかり、今後また何かありましたらご相談させてもらうと言われたのですが、その後何の音沙汰もなく、半年後に依頼者に連絡したら、ボツになったそうです。
うーん、ICレコーダーと診察代は自腹になってしまったけど、向こうから経費についての話はしないのだな。まああICレコーダーはほかにも使えるからいいけど、このままでは私も保険証を不正に使ったことになるではないか!!
こうなったら健康保険を扱っているところに録音テープを持って行って、この整骨院を罰してもらい、自分の分の支払いもしよう、と3月頃に思ったのですが、けっきょくだらだらして何もできず、やる気が出ないから記事に書いて終了とすることにしました。
やる気がなくなったのは相談に行っても、私の分の保険診療が取り消しになるだけで、その整骨院が保険医療機関の指定取消、その柔道整復師が保険医の登録取消になることをまったく期待できないことがわかったためです。九州厚生局に相談すればいいのかと思い、九州厚生局のサイトを見ましたがわかりにくい。公益通報者保護というところに、電子メールで公益通報ができると書いてあったので2時間かけてEメールを書いて送ろうとしたら、こんな文面が…
保険医療機関等の診療報酬の不正請求に関する通報につきましては、健康保険法等に刑罰(懲役や罰金)を科す規定がなく、公益通報者保護法に基づく公益通報の要件に該当しないため、法に基づく公益通報として受け付けることはできません。
えっ、診療報酬の不正請求の通報は受け付けない?
よく読むと、診療報酬不正請求の通報は指導監査課にすると書かれているのですが、福岡県の指導監査課は電話番号とFAX番号が載っているだけでEメールで問い合わせができないというやる気のなさ。報道発表を確認しても、福岡県内で柔道整復師術療養費に係る受領印の取扱い中止は一件もないのだから、直接わたしが指導監査課に行っても 「ああ、めんどうなやつがきた」くらいに思われるだけでなにもしないでしょう。ということで、この件はここで報告して終了
私の施術代は自費で支払わないとおかしいので、保険診療の担当者はこの記事を読んだら、「ちゃんと支払ってください」と連絡してくださいね(`・ω・´)