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関係代名詞の働きと種類
I went to Hawaii with a famous actress.
She is called Suzu-chan.
➡ I went to Hawaii with a famous actress who is called Suzu-chan. (私はすずちゃんと呼ばれる有名な女優とハワイに行った。)
ここで2つの文を1つにまとめる役割を果たしているwhoを関係代名詞といいます。このように関係代名詞は名詞の後ろに置いて情報を追加する役割を果たします。ここでは「有名な女優」に「すずちゃんと呼ばれている」という情報がつけ加えられています。修飾される名詞は「先行詞」と呼ばれますが先行詞によって関係代名詞はwho, whose, whom, which, thatのいずれかの形になります。
先行詞 | 主格 | 所有格 | 目的格 |
人 | who | whose | whom/ who |
人以外 | which | of which/ whose | which |
人・人以外 | that | ———– | that |
who/whose/whomの用法
先行詞が人の場合はwhoもしくはthatを用います。whoはwhose (所有格)、whom (目的格)と格変化します。
who
制限用法
突如、風の谷を襲撃したトルメキア。クシャナがユパに「我らが目的は殺りくではない。話がしたい。剣を収められよ。」と言います。
We’re not savages who‘ve come to massacre your people. We’re here to talk. So would you put your knife away? Please?
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We are not savages.
Savages come to massacre your people.
の2つの文が関係代名詞を使うことで1つになっています。先行詞が人のことであり、また後の文の主語の役割を果たしているので主格のwhoが用いられています。関係代名詞以下が先行詞の意味を限定する場合(制限用法もしくは限定用法と言います)、このように関係代名詞の後にコンマがつきません。ここでは最初に「我々は野蛮人ではない」と言って、「野蛮人」に関係代名詞をつけて「あなたたちを虐殺するために来た野蛮人」と意味を限定しています。ここで注意すべきことは、クシャナが「我々は~ではない」と否定しているのは「野蛮人ではない」ではなくて、 「あなたたちを虐殺するために来た野蛮人」なことです。つまり、「お前らは野蛮人だ」と言われても、クシャナは「そうかもしれない」というかもしれないわけです。この制限用法の意味合いは非常に重要なのでちゃんと理解できるようになってください。I am not a student who cheat on the exam. だと、「私は試験でカンニングする生徒ではない」という意味になりますが、この人は決して「私は生徒ではない」とは主張していません。否定しているのはあくまでも「カンニングをする生徒」です。
非制限用法
関係代名詞の後にコンマをつけると非制限用法になります。「非」というのは要するに、関係代名詞の後の文が先行詞の意味を限定しないということです。制限用法と非制限用法のニュアンスの違いは重要なのでしっかり理解し、マスターできるようになってください。次の文はキキがオソノの家に初めて泊った日の夜のキキのつぶやきです。
「私もうちょっとこの町にいるわ。オソノさんのように私のこと気に入ってくれる人がいるかも。」
Jiji, I’ve decided not to leave this town. Maybe I can stay and find some other nice people like Osono, who will like me and accept me for who I am.
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Maybe I can stay and find some other nice people like Osono, who will like me and accept me for who I am. という文で非制限用法が用いられています。この点に焦点を当てるためにこの文章を短くします。
I may find some other nice people like Osono, who will like me.
日本語にはない用法なので非制限用法の関係代名詞が用いられた英文を和訳すると常に「意訳」した感じになりますが、あえて訳すると、「オソノさんは私を好きになってくれそうだけど、オソノさんのようないい人にほかにも出会えるかもしれない。」という風になります。ここで大切なのはどう訳するかではなく、ここで非制限用法が使われている理屈を理解することです。ここでコンマなしの制限用法を用いることはできません。なぜなら制限用法で「私を好きになってくれそうなオソノさん」(Osono who will like me)と言うと、私を好きになってくれそうなオソノさんとそうではないオソノさんがいてここでいうオソノさんは私を好きになってくれそうなオソノさんのことだと意味になってしまうからです。オソノさんはが複数いれば、私が言っているオソノさんはこちらの方よという意味で限定用法を使えますが、キキがイメージするオソノさんは一人しかいないので限定用法を使えません。
whose
関係代名詞が所有格の代名詞の意味を表わす場合にはwhoseを用います。先行詞は人の場合でも人以外の場合でもどちらでもかまいません。
制限用法
【例文】Two hundred years ago there lived in Boston a little boy whose name was Benjamin Franklin. (200年前、ボストンにベンジャミン・フランクリンという名の少年が住んでいました。)
ボストンには多くの少年が住んでいましたが、ここでのa little boyはベンジャミン・フランクリンという名前であるとwhose以下で意味が限定されています。
非制限用法
【例文】This southern province of Serbia is an overwhelming ethnic-Albanian region, whose people crave independence. (このセルビア南部の州は、民族が圧倒的に多いアルバニア地域であり、人々は独立を切望しています。)
provinceは「(行政区分の)エリア(州、省、県など)」、overwhelmingは「圧倒的な」、regionは「地域」、craveは「~を切望する」、independenceは「独立」を意味しますが、この文の先行詞であるan overwhelming ethnic-Albanian regionはwhose以下で限定されていません。コンマなしで非制限用法にすると、このアルバニア地域には独立を切望している人々がいる地域とそうではない地域があり、ここは独立を切望している人々がいる地域であると意味が限定されます。そうではなく、この地域は人々が独立を切望していると新たな情報が追加されているので非制限用法が用いられています。
whom
関係代名詞が関係詞の節の中にある動詞や前置詞の目的語として働く場合はwhomを用います。ただし口語形ではwhomの代わりにwhoがよく代用されます(ライティングではwhomを用いるようにしてください)。また、制限用法ではwhomは省略されてもかまわないし、省略されることが多いです。
制限用法
【例文】We are inclined to believe those whom we do not know because they have never deceived us. ─Samuel Johnson
「私たちは知らない者たちを信じがちなのは、彼らに騙されたことが一度もないためだ。」 whomはwe do not knowの目的語の役割を果たしています。
非制限用法
【例文】My coworker Jeff, whom I told you about, will be joining us for dinner tonight.
「以前あなたに話していた同僚のジェフが今晩食事に来ます。」 whomはaboutの目的語の役割を果たしています。Jeffは一人しかおらず、whom以下は追加説明をしているだけなので非制限用法が用いられています。
whichの用法
主格と目的格で先行詞が人以外のものや動物の場合はwhichもしくはthatを用います。 所有格の場合はwhoseを用います。
主格のwhich
制限用法
ユパ様が旅に出て何を探しているのかナウシカが尋ねると大ばば様が「あの壁の旗にあるじゃろう。わしにはもう見えぬが、左の隅にいるお方じゃよ。」と返事します。
The answer is on the tapestry which hangs before you. Although I can no longer see it, I remember it well. There is a figure in the upper left corner.
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「左の隅」は「左上隅」という意味でupper left cornerと訳されていますが、ここで先行詞は人ではないのでwhoではなくwhichが用いられています。thatでもかまいません。
非制限用法
小説を書き終えた雫に対して司朗が「よくがんばりましたね、あなたは素敵です。」と言いますが、英語版ではかなり意訳され、というかまったく違うセリフになっています。
Next you’ll need to polish it, which will also take a lot of work.
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itは雫が執筆した小説のことです。whichの先行詞はitではなくto polish itだと思われます。なぜかというと、多くの労力を要するのは小説ではなく小説を完成させることだからです。
目的格のwhich
先行詞が人以外で関係代名詞が関係詞の節の中にある動詞や前置詞の目的語として働く場合はwhichを用います。制限用法ではwhichは省略されてもかまわないし、省略されることが多いです。
制限用法
【例文】I am reading a book which I bought in Junkdo yesterday.
「私は昨日ジュンク堂で買った本を読んでいます。」 whichは省略してもかまわないし、代わりにthatを使ってもかまいません。
非制限用法
【例文】My death will be caused by morphine, which I have deliberately taken with suicidal intent. ─Alex Campbell
「私の死はモルヒネが原因だ。自殺目的で意図的に服用したわけだが。」 ここでコンマなしで制限用法にすると、自殺目的で服用したモルヒネ以外にもモルヒネを使用したことがあり、死の原因となったのは意図的に服用したモルヒネだけだという意味合いになってしまうので注意してください。
thatの用法
thatは先行詞が人であっても人でなくても関係代名詞と使われます。ただし、大事な注意点が3つあります。
①主格と目的格として使われるが、所有格としては使われない。
②whichの代わりによく使われるが、whoとwhomの代用としてはそれほど使われない。
③制限用法として用いられ、非制限用法では使われない。
主格のthat
ピッコロの親父が飛行艇のエンジンをポルコに見せてこう言います。「1927年のシュナイダー・カップでこいつを付けたイタリア艇はカーチスに負けたんだ。」
Don’t ask how I got it. All I can say is it came from an Italian seaplane that lost the Schneider Cup to Curtis.
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先行詞はan Italian seaplaneです。
パズーがお父さんが撮った写真をシータに見せ、「『ラピュタ』っていう、空に浮いている島だよ。」と言うと、シータが「空に浮いている島?」と返事します。
“An island that floats in the sky?”
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thatをwhichに変えてもかまいません。
目的格のthat
ナウシカがパズーにこう言います。「腐海の木々は人間が汚したこの世界をきれいにするために生まれてきたの。」
The trees of the toxic jungle must have evolved to purify the Earth of all the pollution that we humans have made.
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weとhumanは同格です。
The trees of the toxic jungle must have evolved to purify the Earth of all the pollution.
We humans have made all the pollution.
の2つの文を結合するために関係代名詞thatが使われています。このthatをwhichに変えても大丈夫です。