Global warming isn’t a prediction. It is happening. ─James Hansen
「be動詞+~ing」で表す進行形は起きている最中であることを示します。「温暖化は予測ではない。それは起きている」という科学者ジェイムズ・ハンセンの警句で現在進行形が使われていますが、これが現在形でIt happens. となると「温暖化は起きる」という意味になり、今すでに起きているかどうかはわからなくなります。いま温暖化が進行中なのであれば必ず現在進行形にしないといけません。進行形には現在進行形、過去進行形、未来進行形、完了進行形の4つがあります。以下、一つずつ見てみます。
現在進行形
現在進行形は文字通り、現在進行していることを表わします。
『となりののトトロ』の最初の場面です。サツキとメイが父と一緒に田舎に来て古民家を訪れますが、家の柱が腐っていて今にも壊れそうです。サツキとメイが「壊れる~」と走りながら叫びます。
Satsuki: “Whoa. Whoa. Look. It’s rotten. It’s collapsing!”
Mei: “It’s collapsing!”
「今にも壊れそう」というのは壊れている最中ということです。だから現在進行形が使われています。rottenは「腐った」という意味の形容詞。collapseは「(建物などが)崩壊する」という意味の動詞です。itは左側にある柱のことです。
同じく『となりのトトロ』の最初の場面です。サツキがお父さんに「部屋の中にどんぐりが落ちてるの。」と言うと、メイも「上から落ちてきたよ!」
“Hey, Dad, acorns are falling from the ceiling.” “Falling from the ceiling!”
どんぐりが落ちる真っ最中だったので現在進行形が使われています。acornは「どんぐり」。発音に気をつけてください。最初のaは「ア」ではなく「エィ」と発音します。ceilingは「天井」。英語版では「上から」が「天井から」に変わっていますね。
過去進行形
「was [were]+~ing」の過去進行形は過去のある時に進行中の動作や出来事を表わします。
『涼宮ハルヒの憂鬱』の初めのエピソードです。「曜日で髪型変えるのは宇宙人対策か? 涼宮ハルヒに話しかけていた。」「いつ気づいたの?」「うーん、ちょっと前。」
“So, do you change your hairstyle everyday to ward off alien invaders? I was talking to Haruhi Suzumiya.”
“So when did you notice?”
“Um, a while ago.”
ward offは「~を防ぐ」、alienは「宇宙人」、invaderは「侵入者、侵攻者」、talk toは「~に話す」、noticeは「~に気づく」、a while agoは「少し前に」という意味です。ここでキョンが現在進行形ではなく過去進行形を使っているのは、回想シーンだからです。do you change…?のセリフは実際にしゃべったセリフをそのまま載せています。だから現在形なわけです。それに対して、I was talking to Haruhi Suzumiya. というセリフは「過去に○○をしていた」という過去の行為を説明しています。
未来進行形
「will be+~ing」の未来進行形は①未来に進行中であろう動作や出来事、もしくは②確定的な未来、を表わします。ポルコはジーナに「あのアメリカ野郎が店に来たら伝えてくれねえか」 と電話で話します。アメリカ野郎とはカーチスの事です。
I’m sure he’ll be stopping by your place, so tell him we’ll meet again.
I’m sure (that)は「~と確信している」、stop by Aは「Aに立ち寄る」、placeは「場所」、tell A (that)は「Aに~ということを話す」、meet againは「再会する」という意味です。ここでの未来進行形は「未来に進行中であろう動作や出来事」と「確定的な予定」のどちらの意味にも取れます。前者だと「立ち寄っている」という動作が進行するであろうということ、後者だとカーチスがジーナの別荘を訪ねるのは必然的だと考えていることを意味します。ただしそのことはその前のI’m sure…で示されているので私は「未来に進行中であろう動作」を表わしていると思います。
完了進行形
完了形でもとくに「動作が進行中」であること強調したいときに完了進行形を用います。完了進行形には「have [has] been+~ing」の現在完了進行形、「had been+~ing」の過去完了進行形、「will have been+~ing」の未来完了進行形の3つがあります。ただし未来完了進行形はあまり目にすることがありません。私は年間500ページ以上の英文を書いていますが、未来完了進行形を使った文を書くことがほとんどまったくありません。現在完了進行形と過去完了進行形はほとんどの場合において現在完了形と過去完了形で代用できますが、完了進行形を用いると動作に臨場感・躍動感が生まれます。
『耳をすませば』での姉・汐が「あの子この頃、変だもの。」と話すと、母が「やっぱりそう思う? 今日、学校に呼び出されたの。 」 と返答します。
“She’s been acting so strange lately.” “You’re telling me. I had a conference today with one of her teachers.”
act strangely=おかしな行動をとる; lately=最近; You’re telling me=同感するよ; conference=会議
sheはもちろん妹の雫の事です。現在完了でShe has acted so strange lately. と言ってもおかしくはありませんが、現在完了進行形にすることで動作性の意味合いが強くなります。
『ハウルの動く城』でサリマンがソフィーにこう言います。「魔法を自分のためだけに使うようになったのです。」 英語版では「あの日以来(from that day forward)」という表現がつけ加えられています。
And from that day forward, he has been using his magic for entirely selfish reasons.
entirelyはcompletelyと同義語。「まったく」と訳せばよいでしょう。selfishは「利己的な」、reasonは「理由」です。
selfishの意味については以下の記事も参考にしてください。
ここでのhe has been using…も現在完了でhe has used…としても文法的には間違いでありません。ただし語感的にはやはり現在完了進行形にする方がしっくりきます。