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例文で覚える現在完了│ 完了と結果・経験・継続

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現在完了とは何か

英語の完了形には現在完了と過去完了と未来完了があります。文章によく出てくるのは現在完了と過去完了の形です。 現在完了は「have [has]+過去分詞」の形で表し、過去のある時点から今現在の期間を表わしたいときに現在完了を使います。過去形は文字通り、過去のことを表わします。例えば、I had words with Suzu. だと「すずちゃんと口げんかをした」のは昔のことで今はしていないことを意味します(過去形は現在がどうなっているのかを説明しないので今も口げんかをしている可能性は当然あります。ただしそうであるならばあえて過去形の時制を使う必要がないので、過去形で表現すると今はそうではないことが含意されます)。今現在、口げんかをしていることを示す場合は現在進行形か現在完了を使って表現します。「現在形じゃないの?」と思いそうですが、I have words with Suzu. だと、「俺、すずちゃんと口げんかするんだ」という日常習慣的にあることを意味し、ちょうど今、口げんかをしていることを表わしません。そこで今現在口げんかをしているのであれば、現在進行形でI’m having words with Suzu. と言うか、現在完了でI have had words with Suzu. と言わないといけません。現在進行形だとこのけんかはまだ終わっていません。「進行」中というわけです。

現在完了には3つの意味があると習います。完了・結果、経験、結果の3つです(完了と結果を別々にして4つと説明されることもあります)。実はあまりこの意味の違いに注意する必要はありません。ネイティブは「完了・結果」、「経験」、「継続」のどの意味で使おうかと考えながら完了形を使っているわけでありません。過去のある時点から現在までということを示すために完了形を使い、後でその意味を分析すると3種類あるというだけのことです。意識しないといけないのは、過去のある時点から今の期間を表わすときに現在完了を使うという単純なルールだけです。この根本を理解した上で、現在完了の3つの用法を見てみます。

完了・結果│ 最近起こったことが完了したこと及びその結果の状態

「完了・結果」の意味の現在完了は今やったことを示します。その行為は完了していますが、完了したのがたった今だったり、今その行為で生じた状態が続いていることを示します。過去形を用いてSomebody stole my credit card. だとクレジットカードを盗まれたのがいつかわかりませんが、現在完了を用いてSomebody has stolen my credit card. とすると、ちょっと前に盗まれていま困っている状況をイメージできます。「完了・結果」の意味ではalready, yet, recently, lately, justを伴うことが多いです。alreadyは「すでに、もうとっくに」という意味で、肯定文で使われます。 yetは「すでに、まだ」という意味で、否定文、疑問文で使われます。 recentlyとlatelyは「最近、このところ」という意味です。 justは「ちょうど今」という意味です。

以下、例文を見てみます

『風の谷のナウシカ』の場面です。女の子が大ババ様に「風が止むなんて初めて。ババ様、耳が痛い」と言います。

“The wind has stopped blowing. Obaba, what’s making my ears hurt?”

stop …ingは「~するのをやめる」、hurtは「痛む」。makeは使役動詞です。風の谷に吹いてくる風が過去のある時点で止み、今もその止んだ状態が続いているから現在完了が使われています。

ナウシカの「ええ、父やみんなの病気を治したくて…。でも…、もうここも閉めます。 さっき水を止めたからやがてみんな枯れるでしょう 」というセリフが

Yes. I was hoping to find a cure for Father’s illness. But… it’s too late. I’m shutting down. I’ve already cut off the water.

と訳されています。cureは「治療法」、illnessは「病気」、It’s too lateは「遅すぎる」、shut downは「閉鎖する」、cut A offは「~を中断させる」。ナウシカは地下で毒のない植物を育てていましたが、「すでに(already)」水を止めたと現在完了で説明しています。水を止めるという行為自体は過去にやっていますが、水が止まった状態が今も続いているので過去形ではなく、現在完了が使われています。

荒地の魔女に魔法をかけられて年老いてしまったソフィーはみんなにそれがばれないように旅に出ます。旅の途中での一言、 「歯だけは前のまんまで良かったよ。 」 が英語版では

At least my teeth haven’t fallen out yet.

と訳されています。at leastは「少なくとも」、teethはtoothの複数形、fall outは「抜け落ちる」。fallで落ちているイメージ、outで抜けたものが離れていくイメージができればfall outのニュアンスを理解できます。ここでソフィーは「まだ~していない」(not…yet)という意味で現在完了を使っています。日本語の語感ではここで現在完了が使われるニュアンスを理解するのが大変かもしれません。ここで現在完了が表わす「過去のある時点から現在までの状態」は歯が抜け落ちた状態です。年老いたからとっくの前に歯が抜け落ちてよいのに、現時点(現時点も歯が抜け落ちてよい状態)まで歯が抜け落ちていないことが現在完了で説明されています。

兵士が「よそ者はすぐ立ち去れい!」と叫ぶと、アシタカが 「この死者たちの世話になった者だ。いそぎ伝えたいことがある。エボシ殿に会いたい」と述べます。

“My orders are ‘no outsiders permitted here.’”
“All right, but I’ve just come from Irontown. ”

orderは「命令」、outsiderrは「よそ者、外部の人間」、permitは「許す(allow to do something)」、come fromは「~から来る」という意味です。現在完了に「ちょうど」という意味の副詞justを使うことで、アシタカが現地にちょうど来たばかりということが表されています。

経験│ 現在までに経験すること

現在までに経験したことを示すために現在完了が使われます。この意味ではever (at any timeという意味、疑問形だと「今までに」という意味になる)、once (「一度」)、~ times (「~回」)、before (「前に」)、never (「一度も~ない」)などの副詞を伴うことが多いです。

フィオがポルコに「ほら、カエルになった王子様がお姫様のキスで人間に戻るって話あるじゃない」 と話しかけます。

You’ve heard of the fairy tale where the girl kisses the frog, and it turns him back into a handsome prince?

hear ofは「~について聞く」、fairy taleは「おとぎ話」、turn A back into Bは「AをBに戻す」と言う意味です。whereは関係副詞です。関係副詞のwhereの先行詞はplaceなどの場所を表わす語であると習ったことがあるかもしれませんが、ここでthe fairy taleが先行詞になっているように、場所以外の意味の名詞が先行詞になっても構いません。フィオはポルコに話を聞いたことがあるか尋ねています。「現在までの経験」についてなので現在完了が使われています。

宮殿を訪れたソフィーにサリマンがこう言います。「あの子は私の最後の弟子なのに…。素晴らしい才能の持ち主でした。ようやく跡継ぎに恵まれたと、本当に嬉しかったのです。 」

I’ve never seen such a gifted student. I was so thrilled to have finally found someone talented enough to replace me.

giftedは「優れた才能のある」、thrilledは「興奮した、わくわくした」、talentedは「才能のある」、enough to doは「~するのに十分な」、replaceは「~にとって代わる」と言う意味です。 経験の否定、つまり「一度も経験したことがない」ということを示すために「have+never+過去分詞」という現在完了の否定の文章になっています。I have not seen such a gifted student. としてもほぼ同じ意味になりますが、notではなくneverを使うことで「一度もない」ことが強調されます。

継続│ 過去のある時点から現在まで継続して起こること

現在完了でfor(~の間)やsince(~以来)などの期間を表わす語句を伴うと「継続」を意味します。

杉村が雫に告白する場面です。「冗談じゃないよ!ずっと前からお前のことが好きだったんだ!」

I’m not joking. I’ve been in love with you for years. Haven’t you noticed?

be in love with=~に恋している; for years=何年も; notice=気づく 

杉村は何年もの間ずっと雫のことを好きだったから(つまり「継続」)現在完了が使われています。Haven’t you noticed? は「継続」ではなく「現在までの経験」を訪ねています。

修行の旅に出るキキ。キキは魔女が着るライラック色の服が気に入らないようです。 「せめてコスモス色ならいいのにね…。」「昔から魔女の服はこう決まってるのよ」

“Lilac would look prettier on me. Or, white.”
“Witches have worn this color for a very long time, Kiki.”

薄紫の色をlilacと言います。 look prettyは「かわいく見える」。比較になっているので…look prettier on me than this colorと言った言葉が省略されていることが予期されます。witchは「魔女」、「~を身につけている」はwear-wore-wornと不規則変化をします。for a very long timeは「長年にわたって」という意味です。「魔女は長い間この色の服を着ている」とはつまり、過去のある時点から現時点までの期間を表わしているので現在完了が使われています。これが現在形でWitches wear this color. となると魔女が誕生してからずっとそういうものだというニュアンスになります。現在完了だと過去のある時点においてそうなってその状態が現在まで続いていることを示唆します。

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