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【完全版】例文で覚える分詞構文の作り方と訳し方

分詞構文が苦手な受験生は多いようです。分詞構文は「接続詞+主語+動詞~」の「動詞」が分詞で表現されることで接続詞と主語を省略可能にした文を指します。分詞構文には主に4つの意味を表わします。付帯状況、時、動作や出来事の継起、原因・理由の4つです。

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目次

分詞構文とは何か

分詞構文が苦手な受験生は多いようです。ぶっちゃけ、大学受験レベルでは分詞構文を使って英文を書けなくてもかまいません。分詞構文が分からなくても英文は書けます。スピーキングで使えるようになる必要もありません。というか、ネイティブも日常会話では分詞構文をほとんど使いません。分詞構文の知識が必要になるのはリーディングの時です。ネイティブは好んでライティングで分詞構文を使うので、分詞構文を知らないと英文を正確に読むことができなくなります。

分詞構文では分詞を用いて副詞節副詞句の形に圧縮されます。まずはこのことを頭に入れましょう。

分詞には現在分詞過去分詞があります。また、2つ以上の語のまとまりが1つの品詞と同じ働きをして、その中に「主語+動詞」があるものを、「主語+動詞」がないものをと言います。
Who is the woman hanging out with him?  [hangingは現在分詞]
彼と一緒に遊んでいる女性は誰ですか。
The woman taken away by the police was Suzu-chan. [takenは過去分詞]
警察に連行された女性はすずちゃんだった。

I went out with a man who can’t speak Japanese at all. [whoが主語の節]
日本語が全く話せない男と付き合った。
I talked to a man wearing a hat. [主語がないので句]
帽子をかぶっている男性に話しかけた。

分詞構文の例文を見てみます。

He had to stay in bed because he was ill. [太字は副詞節]
Being ill, he had to stay in bed. [太字は副詞句]
彼は病気なので寝ていなければならなかった。

前の文のbecause he was illは主語がある文なので、後の文のbeing illは主語がない文なのでです。節と句にはそれぞれ名詞節・形容詞節・副詞節、名詞句・形容詞句・副詞句がありますが、副詞節と副詞句は文中で副詞の役割を果たします。being illが分詞構文です。

分詞構文では省略されるのは主語だけではありません。接続詞も省略されます。つまり、分詞構文は「接続詞+主語+動詞~」の「動詞」が分詞で表現されることで接続詞と主語を省略可能にした文を指します。例えば、下記の文ではbe動詞のisを分詞のbeingに変えることで接続詞のbecauseと主語のheが省略されています。because he is popularは副詞節、being popularは副詞句です。

He will win the election easily because he is popular.

Being popular, he will win the election easily.
彼は人気があるので簡単に選挙に勝つだろう。

では、分詞構文について詳しく見てみましょう。

分詞構文の形

分詞構文の位置

分詞構文は文の初め、文の中、文の最後のいずれの場所にも置くことができます。

【文頭】Singing loudly, Akko entered the room.
【文中】Akko, singing loudly, entered the room.
【文末】Akko entered the room, singing loudly.
大きな声で歌いながら、アッコは部屋に入ってきた。

分詞構文と主節と区別するために文頭挿入では分詞構文の後に、文末挿入では分詞構文の前にコンマを置いてください。文中挿入の場合は、分詞構文の前と後にコンマをつけます。

分詞構文の意味上の主語

分詞構文では主語が省略されますが、主節の主語と同じなので分詞構文の主語が何か簡単に推測できます。

Having read the book, Emi returned it to the library.
その本を読み終えたので、映見はそれを図書館に返した。
or
その本を読んだ後、映見はそれを図書館に返した。

Emiは恵美でも絵美でもその他のエミでも構わないのですが、昨日見た映画『息子』(1991年公開)に出演していた和久井映見がすごくかわいかったので映見ということでお願いしますm(_ _)m

分詞構文の時制

単純形の分詞

単純形の分詞は、主節の動詞と同じ「時」を表わします。

Feeling exhausted, Mieko went to bed early.
疲れ切ったので、美枝子は早めに床に就いた。

Miekoは美恵子でも三重子でもかまわないのですが、映画『息子』に出演していた原田美枝子さんがきれいだったので美枝子でお願いしますm(_ _)m

この文は、Because I felt exhausted, Mieko went to bed early. という文を分詞構文で表現しています。主節の時制が過去形なので、分詞構文の時制も過去形となります。

完了形の分詞

「having+過去完了」という完了形の分詞は、主節の動詞の表わす「時」より前の時を表わします。

【主節が現在、分詞構文は過去形】
As she stayed up all night studying for her exam, she is very sleepy.

Having stayed up all night studying for her exam, she is very sleepy.
彼女は試験勉強で徹夜したので、とても眠いです。

【主節が現在、分詞構文は現在完了】
As she has visited New York so many times, she tends to think that she is a New Yorker.

Having visited New York so many times, she tends to think that she is a New Yorker.
彼女はニューヨークに何度も行っているので、自分のことをニューヨークっ子だと思ってしまう。

【主節が過去、分詞構文は過去完了】
Because I had already finished my homework, I went to bed at 9 p.m.

Having already finished my homework, I went to bed at 9 p.m.
私はもう宿題を終えていたので、午後9時に寝ました。

分詞構文の能動態と受動態

分詞構文では能動態の場合は現在分詞受動態の場合は過去分詞を用います。

能動態

He is young, so he can stay up all night for three days in a row.

Being young, he can stay up all night for three days in a row.
彼は若いので、3日連続で徹夜することができる。

上の文は理解しやすいと思います。He is young, so…はbecause he is youngと同じ意味と理解してかまいません。では次の文を見てください。

While he was driving on the highway, I saw a Lamborghini Countach.

Driving on the highway, I saw a Lamborghini Countach.
高速道路を運転していると、ランボルギーニのカウンタックを見かけた。

進行形の文です。Being driving on the highway,…と書くべきところをbeingが省略されているのでDriving on the highway,…となっています。このように分詞構文ではbeingがよく省略されます。ここでのdrivingはbe動詞に続く-ing形なので分詞ではなくて動名詞です。省略されたbeingが分詞ということになります。

受動態

受動態の分詞構文は「being+過去分詞」(主節と分詞構文の時制が一致している場合)もしくは「having been+過去分詞」(時制がずれた場合)の形になりますが、進行形のbeingがよく省略されるように、受動態のbeingもよく省略されます。というか、省略されない方が珍しいです。

Written in plain English, this book is very popular among children.
平易な英語で書かれているので、この本は子供たちにとても人気がある。

Being written….のbeingが省略された受動態の分詞構文です。

These girls are victims of bride trafficking, having been kidnapped and taken to China to be sold into marriage.
この少女たちは花嫁の人身売買の被害者で、誘拐され中国に連れて行かれ、結婚のために売られている。

主節の動詞は現在形ですが、誘拐されて中国に連れていかれたのは過去の事なので、「having been+過去分詞」の形になっています。この文ではhaving beenが省略されていません。

否定の分詞構文

分詞構文を否定の意味にするときは、分詞の直前にnotもしくはneverを置きます。

Not knowing what to say, she just smiled. 
何と言ってよいかわからなかったので、彼女はただ微笑んだ。

Never having been written down, the ancient knowledge of their people is possessed only by these few old men.
文字に書かれたことがないので、彼らの民についての古代の知識はこの数人の老人たちだけが持っている。

分詞構文の表わす意味

分詞構文は主に4つの意味を表わします。付帯状況、時、動作や出来事の継起、原因・理由の4つです。ほかにも条件と譲歩を意味する場合がありますが、基本はこの4つの意味です。

付帯状況─その時何をしているか

分詞構文の4つの意味の中でもっともよく出てくるのが付帯状況です。付帯状況の意味がわからない人も多いと思いますが、付帯状況では何かをしながら他の動作が起きていることを表わします。同時に起こることなので「同時生起」とも呼ばれ、「~しながら」と訳されます。この意味では分詞構文は後に置かれることが多いです。

A beautiful girl walked up to me, asking me to go to a hostess bar with her.
きれいな若い女性が、キャバクラに一緒に行こうと私に近づいてきた。
【注】キャバクラをa hostess barと訳すことは可能ですが、a hostess barは「ホステスのいるバー」という意味にすぎないので、それがキャバクラと限定することはできません。スナックやガールズバーもa hostess barと言うことができます。

I entered a hostess bar, accompanied by a woman who approached me five minutes ago.
5分前に声をかけてくれた女性に付き添われながらキャバクラに入った。

『この世界の片隅に』でもすずが付帯状況の分詞構文を使っています。

英語版『この世界の片隅に』より

I can’t believe I’m here, doing this with him.

日本語版ではすずは「こんなことしとる、うち、この人と。」と言っています。ここにいるのと夫とキスをしているのは同時だから付帯状況の意味ということがわかります。

時─何をしている時なのか

分詞構文は「何をしている時なのか」を表わすこともあります。この意味では「~している時」と訳されます。

Staying alone in my room, I noticed that I did not have friends at all.
一人で部屋にいた時、自分は友達が一人もいないことに気づいた。

継起─動作や出来事が続くこと

継起とは動作や出来事が続くことを意味します。付帯状況では同時に起きますが、継起では「~して、そして…」という順序が生じます。この意味では先に起きる動作や出来事が前にきます。

Godzilla attacked Kasumigasaki, killing 290 Lower House Members including Prime Minister Abe.
ゴジラが霞が関を襲い、安倍首相など衆議院議員290人を殺した。

継起なので killing… は and it killed… と言い換えることができます。

原因や理由

原因や理由の意味でも分詞構文は用いられます。この意味の場合は文頭に置かれることが比較的多いです。

Having a coronavirus vaccine yesterday, I do not have to worry about death by a coronavirus.
昨日、コロナウイルスのワクチンを接種したので、コロナウイルスで死ぬ心配はありません。

Not having much time, she quickly made chicken soup for her children.
時間があまりなかったので、彼女は子供たちのために急いでチキンスープを作った。

BeingもしくはHaving beenで始まる分詞構文は原因・理由を表わすことが多いです。

Being tired, he went to bed at eight.
疲れていたので、8時に寝た。

前に述べたように受動態の分詞構文ではbeingがよく省略されます。

Written in easy English, more than half a million people read his book.
簡単な英語で書かれているので、50万人以上の人が彼の本を読みました。
(Being written in…のBeingが省略されています)

以上、分詞構文の4つの意味を紹介しました。実はほかにも「条件」と「譲歩」の意味で分詞構文が使われることがありますが、ほとんどの場合は上記の4つの意味で用いられます。分詞構文の意味は分詞構文の箇所だけを見てもふつう判断できず、前後の文からやっと意味を推測できることも多いです。それでも意味を確定できないこともよくあるのですが、意図的に意味をあいまいにするために分詞構文が使われる場合もあります。

分詞構文を使うべきか?

大学受験レベルであれば英作文で分詞構文を使わなくてもまったく問題ありません。分詞構文を使わなくても同じ意味の英文を簡単に書けます。アメリカ人だって会話ではめったに分詞構文を使わないのだから、日本人が分詞構文を使わなくても別にいいじゃないですか。

とは言うものの、英語上級者を目指すのであれば分詞構文を使えるようになるべきです。私は英文を書くときに分詞構文をよく使います。英文では同じ主語を繰り返すことを嫌います。分詞構文では主語を省略するので、分詞構文を使うと文章がスッキリし、テンポの良い文章になります。

むろん分詞構文をいつでも使ってよいというわけではありません。分詞構文は主語を省略するため文意をとりにくくなるという欠点があります。この問題に対処する手っ取り早い方法は、分詞構文を文末に置くようにすることです。文頭にある分詞構文は主語が後から出てくるので読みにくくなりますが、文末に置く分詞構文は意味上の主語がすでに前の文で出ているので意味をとりやすくなります。例えば、
Covering an area of forty-two acres, West Mall is one of the largest shopping centers.
だと、何が42エーカーの広さがあるのかわからないまま分詞構文の箇所を読まざるを得ませんが、分詞構文を文末に置いて
West Mall is one of the largest shopping centers, covering an area of forty-two acres.
とすると意味上の主語がWest Mallであることがわかった上で分詞構文の箇所を読むことができます。
【訳】ウエストモールは最大級のショッピングセンターで、42エーカーの広さがあります。

ちなみにこの文は非制限用法の関係代名詞を使って表現することもできます。
West Mall is one of the largest shopping centers, which covers an area of forty-two acres.
これで全く問題はないのですが分詞構文だとwhich coversの2語をcoveringという1語で表現できます。英語はシンプルさを好む言語なので、ネイティブはライティングで分詞構文を使いたがる傾向があります。

分詞構文の応用

ここでこれまで説明した分詞構文を復習します。

以下は基本形の分詞構文の文です。

I sat on the chair, and I watched a baseball game on TV.

I sat on the chair, watching a baseball game on TV.
椅子に座ってテレビで野球の試合を見ていた。

①分詞構文の動詞と主節の動詞の時制が一致している。
⇒どちらも過去形
②分詞構文の動詞が能動態。
⇒watchingは能動態
③分詞構文で省略されている接続詞が何か明らか。
⇒andが省略されている
④分詞構文と主節の主語が一致している。
⇒watchingの意味上の主語はI

この基本形の分詞構文は、以下の4点において変化することがあります。
①分詞構文の動詞が主節の動詞の時制より前。
②分詞構文の動詞が能動態ではなくて受動態。
③分詞構文で省略された接続詞が何かよくわからない。
④分詞構文と主節の主語が異なる。

①と②についてはすでに説明しました。①の場合は、「having+過去完了」という完了形の分詞を用います。②の場合は、「being+過去分詞」という受動態の分詞を用います。①プラス②の場合は、「having been+過去分詞」という形になります。

以降、③と④の場合について述べます。

接続詞を頭につけた分詞構文

分詞構文で省略された接続詞が何かよくわからない場合はどうすればよいのか? 答えは2つあります。

①接続詞を分詞の頭につける。
②分詞構文を使わない。

ここでは①について述べます。分詞構文では接続詞を省略しなくてもかまいません。だから、分詞構文の意味があいまいな時は、意味を明確にするために接続詞を置くとよいです。

While waiting for the train, Koji noticed Hiroko standing on the opposite side of the platform.
電車を待っている間、晃次はホームの反対側に立っている紘子に気がついた。

この文ではwhileを分詞の前に置くことで「時」を表わしていることが明確になっています。特に分詞構文が文頭に使われるときは意味が分かりにくくなるので積極的に接続詞を置きましょう。

分詞構文には4つの意味があると「分詞構文の表わす意味」で説明しましたが、まれですが条件と譲歩の意味で分詞構文が用いられることがあります。この意味で分詞構文を使うときは、意味が推測しづらいので接続詞を頭につけてください。

「条件」の意味の分詞構文

「~すれば」「もし~なら」という条件の意味で分詞構文が使われることがあります。まずは接続詞がついていない形。

Turning left here, you will see the gate leading on to an old track.
ここを左に曲がると、旧線路へと続くゲートが見えてきます。

英文法の参考書には「譲歩」の意味の分詞構文の説明で、このようなturning…, you will…で始まる例文をよく載せています。しかし、実際にはネイティブはこのような表現をほとんどしません。代わりに
If you turn left here, you will see the gate leading on to an old track.
と言うようにしましょう。

あるサイトでは以下の例文が載っていましたが、

Studying hard everyday, you’ll pass the exam.
毎日熱心に勉強すると、君は試験に合格するだろう。

どうやったらこの文が「条件」の意味の分詞構文と判断できるのでしょうか?

『実践ロイヤル英文法』では条件の意味では頭に接続詞をつけるのが普通と説明されています。

An intersection, if going straight, cyclists should use a through lane.
交差点で、もし真っ直ぐに進むのであれば、自転車に乗っている人は直進車線を使うべきです。

私が勧めるのは
①「条件」の意味で分詞構文を使わない、
②どうしてもこの意味で分詞構文を使いたいときは接続詞ifを加える、
です。

「譲歩」の意味の分詞構文

「~しながらも」「~だけれども」という譲歩の意味で分詞構文が用いられることがあります。他のサイトで以下の例文が紹介されていました。

Accepting what you say, I still think you are in the wrong. 
君の言い分を認めるとしても、やはり君は間違っていると思う。

文全部を読んでこのAccepting…がAlthough I accept…という「譲歩」の意味であるということを推測することは不可能ではないですが非常にわかりにくいです。

伊藤和夫の『新・基本英文700選』には以下の譲歩の意味の分詞構文が登場しています。

Old and physically handicapped, he had courage enough to do the work. 
年をとり、身体も不自由であったが、彼にはその仕事をする気力があった。

Though he was old and physically handicappedの分詞構文というわけでしょうが、これも非常にわかりくい文章です。『実践ロイヤル英文法』には譲歩の意味の分詞構文は接続詞whileをつけるよう指示されています。

そこで私が勧めるのは
①「譲歩」の意味で分詞構文を使わない、
②どうしてもこの意味で分詞構文を使いたいときは接続詞whileを加える、
です。

While admitting that it was true, she referred to the relationship as a “friendship.”
彼女はその事実を認めながらも、その関係を 「友達関係」 と呼んだ。

分詞の前に主語を置く独立分詞構文

分詞構文ではふつう主語が省略されます。これが可能なのは主節の主語と同じだからです。では、分詞構文の主語が主節の主語とちがう場合はどうすればよいでしょうか? 3つの対応策があります。

①主語がちがうとややこしくなるので分詞構文を使わない。
②分詞構文に主語を置く。これを独立分詞構文と呼びます。
③主語が異なっても分詞構文の主語を省略する。これを懸垂分詞と呼びます。

大学受験レベルの英語であれば、①の対応策をとればよいです。独立分詞構文は非常に文語調なので使わなくてよいし、それで何の問題もありません。ただし、自分は使わなくてもリーディング教材には出てくることがあるので、独立分詞構文を使った英文を理解できるレベルには達する必要があります。懸垂分詞は「悪文」でない限りリーディング教材にも出てこないので、「こんなものがある」程度の理解で十分です。

では独立分詞構文の例を見てみます。

The party being over, the guests began to leave the house.
パーティーは終わり、ゲストは家から出始めた。(=The party was over, and the guests…)

分詞構文の主語が主節の主語と異なるので、分詞の前にthe partyという主語が置かれています。

The doctor having arrived, she looked happy and cheerful.
医者が来たので、彼女はうれしそうに見えた。

分詞構文の主語が主節の主語と異なるので、分詞の前にthe doctorという主語が置かれています。(=Because the doctor had arrived, she looked…)

独立分詞構文ではbeingが省略されることがありますが、さらに文語調になり、意味の把握がさらに難しくなるのでこの用法を使えるようになる必要性はまったくありません。以下は伊藤和夫の『新・基本英文700選』に出ていた文章です(417番)。

The Milky Way is a vast belt of distant stars, each star a sun like our own. 
天の川は、遠方の星が巨大な帯状に見えるものであって、その一つ一つは、われわれの知る太陽に似たものである。

each star being a sun…のbeingが省略されています。非常にわかりにくい文章なので以下のように言い換えるとよいです。

The Milky Way is composed of distant stars that look like a giant bond, each of which resembles the sun as we know it.
天の川は、遠方の星が巨大な帯状に見えるものであって、その一つ一つは、われわれの知る太陽に似たものである。

『基本英文700選』は使えない英文がよく出てくるのですが、伊藤氏はbeingを省略する独立分詞構文がことさら好きなようです。

I stood still, my whole attention fixed on the movements of her fingers.
私は彼女の指の動きにあらゆる注意を集中してじっと立っていた。

これは418番目の英文です。…my whole attention being fixed…のbeingが省略されています。この英文は以下のように言い換えましょう。

I stood still with all my attention focused on her finger movements.
私は彼女の指の動きにあらゆる注意を集中してじっと立っていた。

419番目の英文もbeingが省略されています。

She said her prayers, her heart full of love and tenderness.
彼女は、心に愛情とやさしさをこめてお祈りをした。

…her heart being full of…のbeingが省略されています。これは以下のように訳すとわかりやすくなります。

She prayed with love and kindness in her heart.
彼女は、心に愛情とやさしさをこめてお祈りをした。

このように分詞構文を使わなくても簡単に表現できます。このように伊藤和夫氏の『新・基本英文700選』は悪文が多いので大学受験生(特に駿台の予備校生)はこの本を使わないことをお勧めします。

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with+O+分詞

「O~をしながら」という付帯状況を表わす独立分詞構文が文末にくると、「with+O+分詞」という形をよく取ります。このOは「目的語」という意味のobjectの略称です。withの目的語ですが、分詞の意味上の主語になります。Oの後の分詞が現在分詞だと能動態の関係になります。

She noticed the guy driving away and ran toward him with her arms waving.
彼女は男が車で走り去るのに気付き、腕を振りながら彼に向かって走った。

Oの後の分詞が過去分詞だと受動態の関係になります。

She was playing the piano with her eyes closed
彼女は眼を閉じたままピアノを弾いていた。

この「with+O+分詞」という形の文はよく出てくるのでしっかりマスターしてください。『紅の豚』にも出てきます。

Fio: “With the wings angled like that, I’m really surprised you could even get it off the water.”
「こんな過激なセッティングでよく水から離れられるわね。」
wing=翼; angle=~を曲げる; like that=そのように; get A off B=BからAを飛び立たせる


ここでは「翼は曲げられている」ので「with+O+過去分詞」の形になっています。

懸垂分詞を使うな!

分詞の意味上の主語が主節の主語と異なるときに、分詞の前にその意味上の主語を置いた文が独立分詞構文ですが、ごくまれにその分詞の意味上の主語が省略された英文を見かけることがあります。懸垂分詞と呼ばれますが、文法的に不適切と考えられているのでよい子は真似をしないようにしてください。

Walking through the kitchen, the smoke alarm was going off.

分詞構文の主語が主節の主語と同じだとすると、「煙探知機が台所を歩いていると、煙探知機が鳴っていた。」というわけのわからない意味になります。この英文は「台所を歩いていると、煙探知機が鳴っていた。」と訳せますが、それだと分詞構文の意味上の主語は「台所を歩いている誰か」というとこになり、主節の「煙探知機」という主語と異なることがわかります。「懸垂分詞を使うな!」というのは、このような分詞構文の意味上の主語と主節の主語が異なるにもかかわらず、分詞構文の意味上の主語を省略した英文を書くな、ということです。

慣用句としての独立分詞構文

懸垂分詞の英文を書くなと前節で述べましたが例外があります。独立分詞構文で分詞の意味上の主語がwe, you, theyなど一般の人々を表わす場合、意味上の主語が明白なため省略されることがあります。この中には慣用句として定着したものがあるので、それらは文法的な理屈は深く考えずに、そのままイディオムとして覚えましょう。有名どころだけ載せておきます。よく出てくるイディオムばかりなのですべて覚えてください。

all things considered すべてのことを考慮して
considering~ ~を考慮すれば
frankly speaking 率直に言って
generally speaking 一般的に言って
judging from~ ~から判断すると
speaking of~ ~について言えば
strictly speaking 厳密に言うと
taking A into consideration Aを考慮に入れると
weather permitting 天気が許せば

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