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『この世界の片隅に』英語版で覚えておきたい35の英単語

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『この世界の片隅に』の英語

2016年11月に映画公開され大ヒットした『この世界の片隅に』(原作: こうの史代、監督・脚本: 片渕須直) は海外にも配信され、60カ国以上で上映されています。先週、ネットフリックスがジブリ作品を世界190カ国で配信するというニュースがありましたが、『この世界の片隅に』はすでに20カ国以上でネットフリックスで視聴できます。ジブリ映画は今後も日本、アメリカ、カナダでは見れませんが、『この世界の片隅に』はこの3ヵ国でも見ることができます。

そうなると英語学習者にとって気になるのが、『この世界の片隅』の英語版です。英語タイトルはIn This Corner of the Worldです。アマゾンでブルーレイとDVDがセットになったものを簡単に購入できます。2020年1月の時点では2,600円ほどです。「ブルーレイとDVD」のセットというのにピンとこない人がいるかもしれませんが、要するに同じ内容のブルーレイのディスクとDVDが2つでセットで売られているわけです。ブルーレイとDVDにはリージョンコードというものがあり、日本とリージョンコードの違う国で販売されているブルーレイとDVDは日本で販売されているブルーレイ・DVDプレイヤーでは視聴できません。北米と日本はブルーレイのリージョンコードは同じです。だから、『この世界の片隅に』の英語版ブルーレイは問題なく日本国内で見ることができます。DVDは日本と北米のリージョンコードが異なるので基本見れないことになっていますが、裏技を使えば米国で販売されているDVDも日本で視聴できます。この裏技については下記の記事をご覧ください。

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In This Corner of the Worldを英語で何度も視聴して断言できますが、『この世界の片隅』の英語版DVD(ブルーレイも含む)は英語学習に超お勧めです。元々、日本のアニメの英語版DVDは、英語の映画やTVドラマよりも英語学習に適しています。日本アニメ英語版では、覚えてもしょうがないスラングがほとんど出ず、また日本が舞台だと日本の生活に密着したセリフが多いので、実際の英会話に使える英語が満載です。話される英語も標準的で非常に聞き取りやすいです。ただし一つ、日本のアニメ英語版には重大な問題点があります。そのほとんどのDVDで英語セリフと英語字幕が一致していないため、よく聞き取れなかった英語セリフを字幕で確認することができないことです。セリフをそのまま字幕にする方が余計な翻訳コストもかからないと思うのですが、なぜか日本のアニメの英語版はセリフ用と字幕用が別々に翻訳されます。私は日本アニメの英語版でも特にジブリアニメを進めているのですが、その一番理由はジブリのDVDは2つが一致しているためです。

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『この世界の片隅に』の英語版DVDはセリフと字幕が一致しているのでリスニング教材として最適です。字幕翻訳者の今井聡子さんが日本語セリフのニュアンスを失うことなく見事に英訳しています。ちなみにすずの英語は訛っていません。広島弁は英訳できなかったみたいです!!  『この世界の片隅に』の英語版DVDは英単語・英熟語・英文法の勉強にもなります。今回は、In This Corner of the Worldに出てくる基本英単語を見てみます。大学受験の英語問題にも出てくる重要英単語ばかりです。

基本英単語

telescope 望遠鏡

「望遠鏡」と「顕微鏡」はそれぞれtelescopeとmicroscope。まずはtelescopeから覚えましょう。すずが化け物から渡されたのはtelescopeの方です。

「これで道探せーって、望遠鏡のぞかせてくれんさった。」が He lent me his telescope and said I needed to find my way. と訳されています。lentはlendの過去形です。lendは第4文型で目的語を2つ置いて「AにBを貸す」、need to doは「~する必要がある」、find one’s wayは「(目的地にたどり着くための)道先を見つける」という意味です。英語では「彼が望遠鏡を貸してくれて、自分で道先を見つける必要があると言った」という意味になっています。

kidnap ~を誘拐する

すずが化け物がからったかごの中に落ちると中にいた男の子にこう言われます。

The guy is a kidnapper and we’re being kidnapped right now.
「あいつは人さらい。わしらはさらわれた人たちじゃ。」

kidnapperは「誘拐者、誘拐犯」、kidnapは「~を誘拐する」という意味の他動詞です。ここでは受動態の現在進行形でbe being kidnappedと表現されています。right nowは「たった今」という意味です。

leave ~を置きっぱなしにする

leave-left-leftと活用変化するこの動詞は多義語ですが、その一つとして「~を置き忘れる」という意味がよく英単語集に載っています。しかし、英英辞典にはnot take something with you when you go, either intentionally or by accidentという意味が載っているように、うっかりでなくて「(意図的に)置いていく」場合もleaveという動詞を使えます。すずは草津のおばあちゃんの家に家族で行った際、おばあちゃんからもらうはずの着物を持ち帰らず、お兄ちゃんに叱られます。

You left your kimono in Kusatsu? 
「はあ~?草津へ着物を置いてきたぁ~?」

日本語セリフの「置いてきた」だとすずが意図的に持って帰ってこなかったという意味にとれますが、英語セリフのleaveだとすずは単に置き忘れたという意味にも取れます。

last =continue to exist

「最後の」という意味の形容詞lastは動詞ではcontinue to existという意味になります。動詞lastは『システム英単語』には「持つ」、『速読英単語』では「続く; 持ちこたえる」の意味が載っていますが、これではlastの語感を正確に捉えることができません。動詞lastは「今あるものが今もある」ことを意味します。日本語で意味を覚えるよりも英語でcontinue to exist (存在し続ける)という意味と覚えておきましょう。すずはお母さんに鉛筆代をくれるようせがみますが、お兄ちゃんが茶々を入れてお金をもらえず、今ある鉛筆で我慢します。 「これで今週もつかねー。」 とつぶやきますが、これが
I hope it’ll last this whole week.
と訳されています。

this weekで「今週」、a whole weekで「まる一週間」、this whole weekは訳しづらいですが、この週のまる一週間という意味になります。

collect ~を集める

絵画の授業で自由画をちゃんと描かない水原さんさんの代わりにすずが絵を描いてあげると、彼はコクバを代わりに拾ってすずに渡します。コクバとは松の葉のことで、焚付け用に利用されるそうです。水原の「集めとったど。」というセリフは
I collected them for you.
と訳されています。

collect A for Bで「BのためにAを集める」。gatherも「集める」という意味ですが、gatherは「雑多なもの適当に集める」、collectは「特定のものを選んで集める」を意味します。

swallow ~を飲み込む

すずと周作の初夜の日。結婚式(披露宴?)で何も食べれなかった2人は干し柿を食べますが、すずの言葉にあたふたして周作はつい干し柿を飲み込んでしまいます。

Don’t worry. I just swallowed the entire fruit. I’m okay. 
「安心せえ、安心せえ。いま種まで飲みました。」

worryは「心配する」、その否定の Don’t worry. は「心配するな」、justは「ちょうど」、swallowは「~飲み込む」という意味です。「種まで飲み込む」が「果物を丸ごと飲み込む」と意訳されています。

chilly =uncomfortably cold

chillyは『システム英単語』には「肌寒い」、『DUO3.0』には「(天候などが)ひやんりする」という意味で収録されています。英語の形容詞の多くは日本語では様々に訳せるので(これに対して名詞は1つに訳せば十分ということが多いです。例えば、governmentは「政府」とだけ覚えればよいです)、英語の語感で覚え、その語感から文脈に応じて様々に訳すのが良いです。「cold (寒い)+uncomfortable (不快な)」がchillyです。寒くても平気な時もあるでしょうが、「寒くてもうやってられねーよ」という時はchillyという形容詞を使いましょう。『この世界の片隅に』では、集会に参加したおばちゃんがすずにもっと近くに来るように言ったときに使っています。

「もっと寄ってえーやー。この席は寒いけねー。」

Won’t you…? は「勧誘」を意味します。come closerは比較形で「もっと近くに来る」。前置詞の後は名詞もしくは名詞相当語句がきますが、慣用的に「ここは[に]、この中は[に]」という意味でin here (hereは副詞)という表現が使われます。

roast (豆などを)いる

オーブンや直火で焼いて料理することをroastと言いますが、木の実やコーヒー豆をいるのもroastです。晴美がおばあちゃんに 「豆さ、いりよってん?」 と尋ねるセリフが英語版では Are you roasting some beans? と訳されています。

burn 〔料理・物が〕~を焼きこがす

周作の姉である径子は料理があまり上手ではありません。でも今回はなぜかうまくご飯が炊けたようです。周作がこうつぶやきます。

Keiko didn’t actually burn the rice this time. 
「姉ちゃんが炊いた飯にしてはあんまりこげとらん。」

actuallyはよく「実際に」と訳されますが、何かの状況を強調するという意味にだけ用いられることもあります。ある英英辞典では used to emphasize the real or exact truth of a situation, rather than what people may thinkと説明されていますが、単なる強調なので日本語にどう訳すかは文脈次第ということになります。ここでは「本当に」というニュアンスでしょうか。

fix =repair

多義語のfixには「~を修理する(repair)」という意味もありますが、「修理する」となるとつい電化製品や車みたいなものをイメージしてしまいます。「元はちゃんとしていたものがちゃんとしていない状態にあるのでそれを直す」程度の意味なので応用範囲は広いです。径子にもっとちゃんとした服を着ろと怒られたすずは着物を直して彼女にこう言います。

Thank you, Keiko. I was able to fix my kimono. 
「あのーお姉さん。おかげさまでこの通り着物が直せました。」

be awake 起きている

awakeは他動詞として「(眠っている人)を起こす」と意味しますが、形容詞ではnot sleeping、つまり「起きて」という意味になります。be awakeで「起きている」です。実家に戻ったすずは寝ぼけて、「呉へお嫁に行った夢を見とったわ」と言います。それで、お母さんが 「目覚めたかね?」

allowance お小遣い

子どもが親からもらう小遣いをアメリカではallowanceと言います。イギリスではpocket moneyです。実家に戻ったすずが呉に戻る際、彼女はお父さんから5円のお小遣いをもらいます。

Dad gave me an allowance. 
「お父ちゃん、お小遣いくれた。」

目的語が2つ来る第4文型の文章になっています。

blackout 停電

周作のお父さんが話していると突然真っ暗になってすずがびっくりします。お父さんが一言。

It’s only a blackout. 
「ただの停電じゃ。」

heir [eə] 世継、跡取り

「跡取り」という意味のheirは発音がairと一緒です。「相続人」という意味もあります。

Hisao is the heir of the Kuromura family.
「久夫は黒村の跡取りじゃけ。」

径子には2人の子供がいますが、長男の久夫は黒村家の跡取りということで、死んだ夫の親に引き取られています。

scarce 乏しい、不足して

アリが何かを運んでいるのを見つけた晴美とすずはアリの列をたどると、「御砂糖」と書かれた壺から砂糖を運んでいるのを見つけます。rightはnow (今)を強調しています。強調しているだけなのでright nowとnowはほとんど同じ意味です。

Sugar is scarce right now!
「お砂糖は貴重品じゃのに~。」

locals 地元の人たち

すずは闇市に砂糖を買いに行きますが、 帰り道で遊郭のある区域に入り、迷子になってしまいます。そこで助けてくれたのがリンです。「ここらの人はみな不案内なけねえ」とすずが言うと、リンはこう返事します。

Most of us aren’t locals and we tend to stay within these gates. 
「ほとんどがよそ者じゃし、この門を出もせんし。」

localは形容詞で「地方の、地元の」という意味でよく使われますが、名詞では「地元の人」という意味になります。単数形で使われることはまれで、localsと複数形にして「地元の人たち」という意味で用いられます。「今話題になっている場所に住んでいる人たち」という意味なので、その場所が都会であってもlocalsと言うことができます。

embarrass ~を当惑させる; ~に恥ずかしい思いをさせる

周作に仕事場に至急来るように言われたすずは普段着のまま行こうとします。それに怒ったのが径子です。「恥をかくのは周作なんじゃけんね!」

英英辞典にはmake someone feel ashamed, nervous, or uncomfortable, especially in front of other peopleという意味だと説明されています。embarrassを「~を当惑させる」という意味で覚えている受験生が多いでしょうが、この「当惑」は具体的には恥ずかしくなったり、不安になったり、不快になったりすることを意味するわけです。この動詞は受動態にして自分が当惑しているという意味でよく使われます。dressed like thatは日本語セリフにはありませんが、「そんな服を着て」という意味だと分かれば十分です。

pale (顔色が)青白い、青ざめた

径子に怒られたすずはお化粧もして周作に会いに行きますが、白く塗りすぎて周作が心配します。

You’re very pale, are you okay?
「すずさん、えらい白いが大丈夫か?」

化粧で白くなった顔が青白く見えるかどうか疑問に思う人もいるかもしれません。周作は白く見えることで体の調子が悪いのではないかと気遣っているのでpaleでオーケーです。

funny おかしな、変な

周作に心配されてすずが一言。

I guess I look funny, right? 
「へっ、へんですかね?」

guessは「~を推測する」という意味の他動詞です。I guess (that)…は直訳調にすると「~と推測します」、 「推測ですが~」 になりますが、実際にはもっと軽い感じで、「たぶん~じゃないかと」というニュアンスになります。lookは「~に見える」という意味の第2文型の動詞です。「正しい」という意味のrightは最後に言って、今私が言ったことは正しいですよね、というニュアンスで用いられます。funnyはhumorousとほとんど同義です。「変な」とよく訳されますが、それを見た人がつい笑ってしまうような「変な」がfunnyです。

ordinary 普通の、平凡な

すずが知らない男と無理やり結婚させられたのではないかとずっと心配していた哲はすずに会いに行きます。周作の家ですずを見てこう言います。 「面白いで。お前はほんまに普通じゃのう。」

海軍の中で自分が普通の人として扱われない自分に不安があった哲は、すずが普通であることに安心したわけです。

sane 正気の、分別のある

哲はすずとの別れの時、こう言います。

Smile when you think of me. I want you to stay ordinary and sane in this world until the very end.
「わしを思い出すなら笑ろうて思い出してくれ。お前だけは最後までこの世界で普通でまともでおってくれ。」

think ofは「~のことを考える」、stayは前に出たlookと同じく第2文型の動詞です。

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until the very endのveryは強調の意味だけで使われているのでveryを外してuntil the endとしてもほとんど意味は変わりません。「最後まで」が「まさに最後まで」と変わる程度の変化です。

scary 怖い、おっかない

すずと晴美の会話です。

“No teacher will scold a well-behaved child like you, you know? 
「晴美さんはおとなしいけ、先生も叱ってんないんよ。」
Really? School isn’t scary?
「ほんま?学校こわないん?」

well-behavedは「よくふるまう」、転じて「行儀のよい」を意味します。scaryはfrighteningと同義語です。

sink-sunk-sunk 沈む

すずは病院に入院中の義理の父を見舞いに行くと、彼にこう言われます。

Suzu, did you know that a Yamato sunk
「すずさん、大和が沈没したげな。」

ここでのsunkはsinkの過去形です。sink-sunk-sunkと語形変化しますが、これはアメリカでの話です。イギリスではsink-sank-sunkとなります。 英訳では疑問文になっていますね(「すずさん、大和が沈没したのを知っとるか?)。

scared こわがって、おびえて

空襲に会い、すずと防空壕の中にいる晴美。

Suzu, I’m scared.
「すずさん、こわい。」
We’ll be okay. Look here. 
「大丈夫。ほれ。」

scaryとbe scaredはどちらも「怖い」と訳されますが、scaryは「何かが怖い」、be scaredは「何かを怖がっている」ことを意味します。

alive 生きていて

爆発で右手を吹き飛ばされたすずに会いに周作が駆けつけます。すずを見てほっとする周作。 「ともかくよかった。あんたが生きとって。」

I’m glad that…は「~してうれしい。」、justは「ただ」という意味です。aliveの対義語はもちろんdeadです。

disaster (突然の、または大きな)災害

すずの見舞いに来た妹のすみちゃん。「おおごとじゃったねえ、すずちゃん。」

What a disaster it is. の it isが省略されています。感嘆文にはwhatとhowの用法があり、whatの場合は「What+a+形容詞+名詞+S+V…」の形をとると英語の授業で習ったでしょうが、形容詞がつかない感嘆文もよく使われます。これに関しては以下の記事をお読みください。

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horrible =①very shocking or frightening; ②very unpleasant or bad

horribleは『英単語ターゲット1900』には「恐ろしい」、『システム英単語』には「身の毛がよだつ、ひどい」という意味で載っています。すみちゃんがお姉ちゃんの見舞いの帰りに見た看板を見て、「ひどいねえ。」とつぶやく場面があります。この「ひどい」は「①とてもショッキングな、おそろしい」、にも「②とても不快な、ひどい」にもとれます。文脈によっていろんな訳され方があるので、とんでもないものを見たり接したりするときに使う形容詞というイメージをもちましょう。

miss ~がいないのを寂しく思う

大好きだった人と別れて寂しく思う時に使う動詞がmissです。姑のサンが実家に戻るすずにこう言います。

We’re going to miss you. I hope you know that, Suzu dear.
「寂しいねえ。すずさんが居らんくなるんは」

後の文は英語では「すずさん、あんたがいなくなったら私たちが寂しく思うことをわかってね」という意味になっています。

blame A for B AをBの理由で責める

径子がすずに謝ります。

Listen, Suzu. I’m sorry that I blamed you for Harumi’s death.
「悪かった。晴美が死んだんをあんたのせいにして。」

似たような動詞に、excuse A for B (許す)、forgive A for B (許す)、praise A for B (ほめる)、punish A for B (罰する)があります。すべて重要語なのでしっかり覚えましょう。

flash 閃光

1945年8月6日午前8時15分、広島に原爆が落とされます。 その閃光は呉にまで届きます。

Did you see that flash
「径子ちゃん、いまなんか光ったかね?」

瞬間的に強く光る光が閃光であり、flashです。普通の光はlight。

melt 溶ける、~を溶かす

広島に支援に行く準備をする呉のおばちゃんたち。

That flash melted all the roads, so regular shoes are no good.
「先月の空襲みとうに道路が溶けとったら靴も下駄もいけんけん。」

多少意訳されているようです。英語では「あの閃光はすべての道路を溶かしたから普通の靴じゃダメなんじゃ。」という感じの意味になっています。

join ~に参加する、加わる

「~に」というと、つい「動詞+to」で表現したくなりますが、ここでのjoinは他動詞としてしか使わないのでjoin toとは絶対言いません。

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1945年8月15日に玉音放送を聞いて日本の敗戦を知りますが、近所のおばさんたちはなんとかそれを受け入れようとしてこう言います。

Because they dropped a new bomb on two cities. 
「広島と長崎に新型爆弾落とされたし。」
The Soviets joined them, we cannot win now. 
「ソビエトも参戦したし、まあかなわんわ。」

sacrifice ~を犠牲にする

日本の敗戦を知って泣き崩れるすず。各所で倒置の用法が用いられ、目的語が最初にきています。

Everything we’ve done slips away. Everything we’ve sacrificed. The reasons why we’ve endured it all. Rice and soybean grown overseas, that’s what my body is made of. So we surrender to violence? I wanted to die a daydreamer.
「飛び去ってゆく。うちらのこれまでが。それでいいと思ってきたものが。だから我慢しようと思ってきたその理由が。海の向こうから来たお米。大豆。そんなもんでできとるんじゃなあ、うちは。じゃけえ暴力にも屈せんとならんのかな。なんも考えん、ぼーとしたうちのまま死にたかったなあ。」

slip away=そっと立ち去る(leave a place secretly or without anyone noticing)
sacrifice=~を犠牲にする
endure=~に耐える、我慢する(be in a difficult situation for a long time without complaining)
grow-grew-grown=~を育てる
overseas=海外で
be made of=~で作られている
surrender=降伏する
die=~として死ぬ
daydreamer=空想家、夢想家

think of ~のことを考える

晴美のことを思い出すすず。from this day onは「今日この日から」という意味の慣用句です。「笑顔のいれもんなんです」はkeep smiling (笑顔で居続ける)と訳されています。

Harumi always laughed, so I’ll always smile when I think of her. From this day on, I’ll keep smiling.
「晴美さんはようわろうてじゃし、晴美さんのことはわろうて思い出してあげよう思います。そのさきずっとうちは笑顔のいれもんなんです。」

boil water お湯を沸かす

周作とすずは親を失った女の子を連れて帰ってきます。しかし、この子はシラミだらけで…。

母: Boil some water, we have to steam our clothes.
「大鍋に湯う沸かし!着とるもんもみな煮るで。 」
周作: Everyone has to take a bath.
「とりあえず風呂かのう。」
すず: I think it’s best that she should go in last.
「この子は最後の方がええんじゃないですか?」
径子: She might be able to fit into Harumi’s clothes.  
「去年の晴美の服じゃ。小まいかねえ。」

「お湯を沸かす」はboil hot waterではありません。正確には「水を沸かす」だからboil waterになります。steamは「~を蒸気に当てる」という意味なので「煮る」とは違う感じもします。英語では「沸かす」も「煮る」もboilです。fit intoは「(大きさや形が)~に合う」を意味します。 この箇所も英語のセリフは日本語のセリフと多少意味が変わっています。

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