感嘆文とは何かに強い印象を受けて文字通り「感嘆」したときに使う表現です。疑問詞のHowかWhatで始まり、感嘆符 (exclamation mark) の!で終わります(ただし!という表記は省略されることがよくあります)。Howを用いた感嘆文では「How+形容詞もしくは副詞+S+V…!」、Whatを用いた感嘆文では「What a+形容詞+名詞+S+V…!」の形を取りますが、S+V…は省略されることが多いです。
How+形容詞[副詞]+S+V…!
形容詞や副詞の意味を強調して喜びや悲しみ、驚きなどの感情を表すときは、「How+形容詞or副詞+主語+動詞…!」の形をとります。
『耳をすませば』での雫と夕子の会話です。夕子の好きな男性が野球部の杉村であることが雫にばれます。「杉村だったのかあ、夕子の好きな人って…」「どうしよう。分かっちゃったかもしれない。私、あんな…」。このセリフが以下のように英訳されています。
Shizuku: So I guess Sugimura is the guy you like.
Yuko: “How embarrassing. I ran off like a little girl.”
embarrassingは making you feel shy or ashamed、つまり「恥ずかしい気持ちにさせる」、「当惑させる」という意味です。How embarrassing. はHow embarrassing it is! のit isと!が省略されています。感嘆文なので本来は感嘆符の!をつけるべきですが、ここて夕子はテンションが下がって話しているので感嘆符がついていません。
同じく『耳をすませば』の場面です。雫が男の話をするのでみんながちゃかしています。メガネの女の子が「まあ、ロマンチックですこと。」と言うと、雫が「そうやって、からかってればいいでしょ。」とキレてしまいます。
Girl: How romantic! You are in love.
Shizuku: Go ahead, make fun of me if you want to.
if you want toはその後のdo itが省略されています。How romantic! はHow romantic you are! もしくは How romantic it is! のどちらかの省略形と考えればよいでしょう。
What a+形容詞+名詞+S+V…!
「形容詞+名詞」の意味を強調して喜びや悲しみ、驚きなどの感情を表すときは、「What a+形容詞+名詞+主語+動詞…!」の形をとります。
『となりのトトロ』でサツキがカンタのおばあちゃんに 「サツキに… 妹のメイです。こんにちは。」 とあいさつすると、 「はい、こんにちは。賢そうな子だよぉ。」とおばあちゃんは言います。 この場面でWhatの感嘆文が出てきます。
Satsuki: I’m Satsuki, and that’s Mei. Nice to meet you.
Kanta’s grandmother: Well, it’s nice to meet you too. What nice manners you have.
感嘆文のwhatは「What a (an)+形容詞+名詞…」となると習いますが、whatの次が複数形の時はこのように a (an)はつきません。whatの次が数えられない名詞の時もa (an)はつきません。mannerは「行儀」や「作法」という意味ではこのように複数形になります。要するに日本語の「マナー」は英語ではmannersとなります。単数形だと「やり方」や「態度」という意味になります。
次は『ハウルの動く城』でのハウルとソフィーの会話です。「 ほら! 」「 まあーっ!ちっちゃな家! 」「 僕の大事な隠れ家さ。子供の頃の夏に、よくあそこでひとりで過ごしたんだ。 」
Howl: Look there.
Sophie: What a cute cottage.
Howl: That was my secret hideaway.
What a cute cottage that is. のthat isが省略された形です。
次は『千と千尋の神隠し』から。
湯婆婆: フン。千尋というのかい?
So, your name’s Chihiro.
千尋: はい。
Yes, ma’am.
湯婆婆: 贅沢な名だねぇ。
What a pretty name.
「贅沢な」が「かわいい」に変わってます。また、What a pretty name it is! の it is! が省略されています。
What+名詞+S+V…!
どの英文法書を見ても、Whatの感嘆文では次にa[an]と形容詞と名詞が続くと説明されていますが、実は会話文では形容詞がつかないことがよくあります。名詞自体に驚きの意味が含まれると形容詞を加える必要がないからです。例えば、What a surprise! だと「ああ、びっくりした!」、What a coincidence! だと「すげえ偶然だなあ!」という意味になります。
『借りぐらしのアリエッティ』のセリフです。「このオーブンも本当に使えるのよ。」「素敵ですねえ。」「父の願いをかなえたかったわ。」
Sadako: You could bake real cookies.
Haru: Some really little cookies.
Sadako: What a pity their dream never came true.
pityは「残念なこと」という意味です。pityという名詞に感情が込められているので形容詞をつけ加える必要がありません。日本語版では願っているのは父ひとりだったのが、英語版ではtheirという複数形になっています。このtheirは「小人たち」を意味します。つまり、このミニチュア家具を利用できなかったので小人たちの夢がかなわなかったという意味に変わっています。
祈願文のMay+S+V…!
キキが魔女の修行のために旅立つ場面でのお父さんの「大丈夫。無事に行ったようだよ」というセリフが「うちの子が元気で安全な旅をしますように」という祈願の文に変わっています。
May our little baby be well and have a safe trip.
「May+S+V…!」で「~でありますように」という祈願を意味する文になります。『実践ロイヤル英文法』には「極めて文語調」と書かれていますが、実際には会話文でもよく使われます。