ある程度英語力がついたら英単語の意味を調べる時に英英辞典を使うようにしてください。とくに動詞・形容詞・副詞は日本語と英語の語感がよくずれるので、英和辞典で英単語の意味を調べるだけでなく、英英辞典でも意味を確認するクセをつけましょう。英英辞典を使いこなせるようになったら、最初に英英辞典で意味を調べるようにして、よく理解できなかったら英和辞典に当たるようにすればよいです。 とくにお勧めのインターネット英英辞典はCambridge Advanced Learner’s Dictionary, Longman Dictionary of Contemporary English, Wordsmythの3つです
Cambridge Advanced Learner’s Dictionary
http://dictionary.cambridge.org/
この辞書は最近、英和辞典としても使えるようになりました。上のサイトを開くと、空欄の右側がEnglish-Japaneseとなっているかもしれません。その場合、このまま空欄に調べたい英単語を記入してSearch (虫眼鏡のようなアイコン)をクリックすると、英語と日本語の意味が出てきます。私は英英辞典としてのみ利用しているのでEnglish-JapaneseをEnglishに変えて使用しています。
英英辞典で単語の意味を調べると、英和辞典ではわからない類義語の意味の微妙な違いを理解できます。例えば、論文でよく使う「明らかにする」を和英辞典で調べると、elucidate, reveal, uncover, clarify, discloseなどいろんな動詞の候補が出てきます。それぞれの英単語の語感のちがいを知るためには英英辞典で調べるしかありません。Cambridge Advanced Learner’s Englishでは初心者の英語学習者向けに平易な英語で意味が説明されています。例えば、上記の英単語は
elucidate: explain something or make something clear
reveal: make known or show something that is surprising or that was previously secret
uncover: discover something secret or hidden
clarify: make something clear or easier to understand by giving more details or a simple explanation
disclose: make something known publicly
と説明されています。この説明から「この論文の目的は~を明らかにすることである」に使う英単語としては、一番オーソドックスなのがelucidateもしくはclarifyで、revealとuncoverはより限定的な意味であり、いままでわからなかったことを明らかにする場合に使い、discloseは論文での「明らかにする」とはずれがある(会社の経理の不正を明らかにするという場合はdiscloseがよい)ということがわかります
CALDがとくにお勧めできるのは例文が非常によいからです。本講座では英単語は丸暗記ではなく、例文を朗読することで覚えるよう勧めていますが、この辞書の例文はそのままその目的のために使えます。ひとつ気をつけないといけないのは、この辞書は米語ではなく、イギリス英語の辞書ということです。ただし、この辞書は米語とイギリス英語の違いについても詳しく説明しているのでとくにそれが問題となることはありません。
Longman Dictionary of Contemporary English
英英辞典はそれぞれ特徴があります。英単語の意味の説明も辞典によって異なります。英語での説明なので理解しづらいことも多々生じますが、そういう時は別の英英辞典で調べると単語の意味が理解できることがよくあります。そこでCambridge Advanced Learner’s Dictionaryだけでなく、Longman Dictionary of Contemporary Englishも利用することをお勧めします。「ロングマン現代英英辞典」として日本で販売され、ATOKの英英辞典機能でもこの辞書が使われています。 この2冊はノンネイティブの英語学習者用に編集されているので、英単語の意味がわかりやすく説明されています。
http://www.ldoceonline.com/
この辞書も空欄の左側をEnglishからEnglish – Japaneseに変更すると日本語の説明も確認できます。
英単語、特に動詞・形容詞・副詞の語感を習得するために積極的に英英辞典を利用しましょう。例えば、「我慢する」を和英辞典で調べてbearとtolerateの2つの候補があったとします。そこでLongmanで空欄にbearとタイプし、Searchをクリックすると
http://www.ldoceonline.com/search/?q=bear
が出てきます。一番上のbearをクリックすると
1. to bravely accept or deal with a painful, difficult, or upsetting situation [=stand]
と出てきます。
次にtolerateも調べてみると、
1.
to allow people to do, say, or believe something without criticizing
or punishing them
と出てきます。
語感の違いが明らかです。bearは望ましくないことを嫌々受け入れるというニュアンスがありますが、tolerateには細かいことを気にせずに相手がしたがっていることを自由にさせるというニュアンスです。子どもが部屋を片付けない状況で、bearだと本当は怒って片付けさせたいけど当面は何も言わないという感じ、tolerateだと子どもが整理整頓できないのは当たり前のことだからそのままにさせているという感じ。tolerateは日本語の「我慢する」とはかなり意味あいがちがうことが英英辞典で調べるとわかります。否定形にするとcan’t bearだと「もう我慢できない」、can’t tolerateだと「もう見逃すことはできない」となり、同じ「我慢する」ではまったく語感が違います。英英辞典で単語の意味を調べるとこのように単語の語感を身につけることができるので、英英辞典に慣れ親しみましょう。
Wordsmyth
Cambridge Advanced Learner’s DictionaryとLongman Dictionary of Contemporary Englishでも難しくて使いこなせない人にお勧めなのがWordsmythです。
http://www.wordsmyth.net/
CambridgeとLongmanは外国人英語学習者向けに作られた英英辞典ですが、Wordsmythは英語ネイティブの年長さんから小学校3年生用に作られた英英辞典です。左側の空欄に単語を書けば意味や例文が出てきますが、初心者(Beginner’s Dictionary)、中級者(Intermediate Dictionary)、上級者(Advanced Dictionary)の3つを選ぶことができます。ただし、上級者用といってもあくまでも小学校低学年の中でのということなので、特に難しい事はありません。ためしにhateの意味を調べるとBeginner’s Dictionaryではto have a very strong bad feeling toward something; to not like in any way、Intermediate Dictionaryでは dislike very strongly; detest、Advanced Dictionaryではto dislike intensely; feel hostility toward; loathe; detestと説明されていました。
上級者向けお勧め英英辞典
上の3つは初心者向け英英辞典です(とはいっても、高校三年生で英語偏差値60以上くらいの囲碁力は必要です)。上の3つを使いこなせたらネイティブの大人でも使っている英英辞典にも挑戦してください。
The American Heritage Dictionary of the English Language
The American Heritage Dictionary of the English Languageも私がよく使う辞書です。
https://ahdictionary.com/
Cambridge Advanced Learner’s DictionaryとLongman Dictionary of Contemporary Englishは初心者向きの辞書なので、英単語の意味の説明がわかりやすいのですが、たまに冗長的と感じることがあります。それに対してHeritageは中級者向きなので意味の説明がより簡潔です。ただし例文が完結すぎます。例文が一番しっかりしているのはCambridge Advanced Learner’s Dictionaryです。
The Free Dictionary
The Free Dictionaryはネイティブの利用者も多い一般向けの英英辞典です。
http://www.thefreedictionary.com/
The Free Dictionaryにはある特定のアルファベットで始まる英単語とある特定のアルファベットで終わる英単語を羅列する機能がついています。空欄の下のStarts withとEnds withの機能です。例えば、英語で「恐怖症」は-phobiaと言いますが、空欄にphobiaとタイプし、Ends withをクリックすると、200以上の恐怖症が出てきます。例えばagoraphobiaは「広場恐怖症」(an abnormal fear of open or public places)のことを指します。
Dictionary.com
Dictionary.comも使いやすい英英辞典です。
http://dictionary.reference.com/
意味の説明が簡略でわかりやすいです。発音は単語の右側のマイクをクリックすると出てきます。同義語(Synonyms)、例文(Examples)、Word Origin (語源)も表示されます。
Wiktionary
名前で推測できるように、これはWikipediaの辞書バージョンです。
http://en.wiktionary.org/
この辞書は微妙に使いにくいので私はあまり利用していません。最初に 「語源(Etymology)」 と「発音(Pronunciation)」が示され、次に品詞別に単語の意味の説明がなされています。「翻訳(Translations)」という項目をクリックすると、多言語の翻訳が表示されます。例えば、Japanを調べると、100以上の言葉で「日本」が翻訳されます。Wiktionaryは「英辞郎」に似た辞書と言えます。ボランティアが辞書を編集しているので適当なところが多々あります。そのため、メインの辞書としては使用しないのが無難です。ただし、最新語もすぐに収録されるのでほかの辞書には載っていないようなマイナーなことでもWiktionaryには掲載されていたりします。そのため補助としては非常に有用度の高い辞書ではあるのでWiktionaryも使えるようになった方がよいかと思います。
Merriam-Webster
最近、私が使い始めたのがMerriam-Websterです。
http://www.merriam-webster.com/
英語上級者が一冊しか英英辞典を使えない場合は、私はこの辞書を使うことを進めます
YourDictionary
YourDictionaryもお勧め英英辞典です。
https://www.yourdictionary.com/
英語上級者は一度試しに使ってみてください。
私の場合
パソコンやタブレットで英文を読むときは、自分に合った辞書も開いておきましょう。私の場合、Chromeを英語専用にして(日本語ではFirefoxを利用しています)、
英辞郎 http://www.alc.co.jp/
Weblio http://ejje.weblio.jp/
Linguee http://www.linguee.jp/
Cambridge Dictionaries Online http://dictionary.cambridge.org/
Longman Dictionary of Contemporary Englih http://www.ldoceonline.com/dictionary
Wordmyth http://www.wordsmyth.net/
Merriam-Webster https://www.merriam-webster.com/
Dictionary.com http://dictionary.reference.com
Your Dictionary https://www.yourdictionary.com/
をGoogle Chromeのブックマークに入れて、パソコンを起動するたびにこれらの辞書をすべて使えるようにしています。