同じ性質をもった人や物が集まって1つの意味を成す名詞を集合名詞(collective noun) といいます。集合名詞は3種類あります。①furniture型: 数えられない名詞で単数扱いのみ、②cattle型: 数えられる名詞で複数扱いのみ、③family型: 数えられる名詞で単数・複数両方あるもの、の3つです。
※『6カ月で英単語・語法・英文法完全マスター』講座受講生を対象としたサブノートです。 テキストは旺文社の『表現のための実践ロイヤル英文法』を使用。「第14章 名詞」の「159 集合名詞」(pp.334-7)を熟読してください。
集合名詞とは何か
同じ性質をもった人や物が集まって1つの意味を成す名詞を集合名詞(collective noun) といいます。例えば、しんのすけ、みさえ、ひろし、ひまわりはみんな異なりますが、4人が集まってできた野原家は1つのfamily (家族)です。
orchestraは複数の弦楽器、管楽器、打楽器の演奏者で構成された集合名詞です。
furnitureは机やいすやベッドなどから成り立つ「家具」という意味の集合名詞です。
集合名詞が不得意な英語学習者は多いようです。集合名詞を単数扱いにするか複数扱いにするかの判断に戸惑うためです。 まずは集合名詞には3種類あるということを理解しましょう。
集合名詞は
①数えられない名詞で単数扱いのみ
②数えられる名詞で複数扱いのみ
③数えられる名詞で単数・複数両方あるもの
の3つに分類されます。代表的な名詞はそれぞれfurniture, cattle, familyです。
①furniture型: 数えられない名詞で単数形で単数扱いされるもの
The house has no furniture but we decided to rent it anyway. 単数扱い
その家には家具がないが、とにかく借りることにした。
②family型: 数えられる名詞で単数・複数扱い両方あるもの
The Simpsons family consists of five. 単数扱い
シンプソンズ家は5人家族です。
My family are all nasty. 複数扱い
私の家族はみんな意地悪です。
③cattle型: 数えられる名詞で単数形で複数扱いされるもの
Many cattle were gazing at me. 複数扱い
たくさんの牛が私をじっと見ていた。
このように集合名詞には1つ2つと数えられるものと数えられないものがあります。さらに数えられる集合名詞には常に複数扱いのものと単数/複数の使い分けが必要となるものがあります。
数えられない名詞 | 数えられる名詞 | |
単数扱い | A | |
複数扱い | B | |
単数・複数扱い | C |
以下、それぞれのカテゴリーに属する集合名詞を見てみます。
A. 数えられない名詞/単数扱い
人や生物の集合体は可算名詞扱いになりますが、ものの集合体は数えられない名詞扱いになります。数えられない名詞はごく一部の例外を除いて複数形になりません。Aに属する代表的な名詞をあげておきますが、日本語で意味を覚える場合は「類」を最後につけるとこの単語が集合名詞であるという意識を強く持つことができます。例えば、可算名詞のclothは「服」、poetは「詩」、集合名詞のclothingは「服類」、poetryは「詩類」という風にです。
baggage; clothing; fiction; food; furniture; jewelry; luggage; machinery; mail; music; poetry; scenery
baggage 手荷物類
clothing 衣服類
fiction フィクション類
food 食べ物類
furniture 家具類
jewelry 宝石類
luggage 手荷物類
machinery 機械類
mail 郵便物類
music 音楽類
poetry 詩類
scenery 風景類
Aに属する名詞は常に単数形で、量の多少はmuchやlittleなどで示し、数える必要がある時はa piece of~などの形を用います。
There is little food in the refrigerator. (×few foods)
冷蔵庫にはほとんど食べ物がない。
There are seven pieces of furniture in this room. (×seven furnitures)
この部屋には家具が7点ある。
My company usually sends out 120 pieces of mail every day. (×120 mails)
私の会社は毎日120通の郵便物を出します。
B. 数えられる名詞/複数扱い
次は常に複数扱いをする集合名詞です。複数扱いなので後に続くbe動詞はis [was]ではなく、必ずare [were]になります。このタイプの名詞は不定冠詞のa [an]はつかず、複数形もありません。複数形はないので「9匹の牧畜牛」はnine cattleと表記し、cattleの後にsをつけ加えません。「7人の人たち」はseven peopleです。必ず複数なのでthree cattleやsome peopleとは言えても、one cattleやone peopleと言うことはできません。theをつけると、集合体全体か、特定のものを指します。以下の5つの集合名詞はよく出るのでしっかり覚えましょう。
cattle 牧畜牛
The cattle are grazing in the meadow.
牛が牧草地で草を食べている。
※牛を数えるときはa cow, cows (雌の乳牛)、an ox, oxen (雄牛)
clergy 聖職者
The clergy have opposed the plan.
聖職者たちはその計画に反対している。
※1人の聖職者はa clergyman 〔ただし、男性に限る〕、複数の場合はclergymen
people 人々
Now that we’ve discussed our problems, are people happy with the decisions we’ve made?
私たちが問題を議論した今、人々は私たちが下した決定に満足しているだろうか?
※1人はa person、複数の人はpersons
※「国民、民族」(all the men, women, and children who live in a particular country, or who have the same culture or language) の意味のpeopleはcountable、つまり「数えられる名詞」扱いになります。だからThe Frenchは「1つの国民・民族」という意味でa people、The French and the Japaneseは「複数の国民・民族」という意味でpeoplesになります。
The French are known as a food-loving people.
フランス人は食べ物好きとして知られている。
police 警察、警察官
個々の警察官はa police officerです。「警察官たち」から成るpoliceは常に複数扱いになります。複数形にはなりません(×polices)。「1人の警察官」はa police officerとなり、a policeと言うことはありません。policeは複数の警察官から成る集合名詞だからです。「10人の警察官」はten police officersでもten policeのどちらでも間違いではありませんが、警察官の数を具体的に示す時はpolice officerという可算名詞を使う方がより自然です。
She is happy with the way the police have handled the case.
彼女は警察の対応に満足している。
poultry 家禽
「家禽」の意味がわからない人も多いでしょう。「家禽」とは家畜として飼育されている鳥のことを指します。ただし日本語の「家禽」は愛玩用や観賞用の鳥を含めることがありますが、poultryは通常、肉や卵を利用するために飼う鳥に限定されます。poultryは集合名詞なので「鶏1羽」という意味でpoultryを使うことはできません。その場合はa chickenと言います。また、poultryは「鳥肉、鶏肉」という意味もありますが、この意味では不可算名詞扱いになります。肉はどのような大きさにも包丁で切ることができるから数えようがないためです。
Poultry are domesticated birds kept by humans for their eggs, their meat or their feathers.
家禽とは、人間が卵や肉、羽毛のために飼う家畜化された鳥のことです。
「~な人々」の意味の「the+形容詞」
またthe rich (金持ち)、the poor (貧乏人)、the homeless (ホームレスの人たち)など形容詞に定冠詞をつけた形が「~な人々」という意味で集合名詞になりますが、複数扱いであることを忘れないようにしてください
The rich tend to reside in the outer suburbs while the poor are confined to the inner city areas in this country.
金持ちは郊外に住む傾向があるが、貧しい人々は国内の都心部に限定される。
[C. 数えられる名詞/複数扱い]に属する集合名詞は形の上では単数形なのに複数扱いをすることに戸惑う英語学習者は多いかと思います。実はネイティブもそうであり、いま米英でこの形の集合名詞を単数扱いして、police are, police were, police haveではなく、police is, police was, police hasと表現する人が増えています。
C. 数えられる名詞/単数・複数扱い
いちばんややこしいのが単数にも複数にも扱われる集合名詞です。その代表がfamily (家族)ですが、集合体を一つのまとまりと見る場合は単数扱いにし、集合体の個々のメンバーを一人ずつ見る場合は複数扱いにします。例えば、「私のところは大家族です。」という場合、家族がまとまった状態のときが大家族なので My family is large. となります。「私の家族は福岡に住んでいる。」という場合も、家族のひとりひとりが自分で決めた結果としてみんな福岡に住んでいるのではなく、生まれながら皆同じところに住んでいる場合単数扱いにして My family lives in Fukuoka. とします。「クラスの子は先生が来るのを静かに待っている。」の「クラスの子」も単数扱いにします。「クラスの生徒たち」はclassですが、この場合、クラスメートは皆、同じ時刻に同じことをしているのでクラスメート1人ずつを観察しないで、1つのまとまりとして見ることができるからです。
The class waits for its teacher quietly.
逆に一つのまとまりとしてではなく、集合体の個々のメンバーに意識を向ける場合は複数扱いになります。例えば、「私の家族全員がスポーツ好きだ。」という場合、お父さんは野球、お母さんはバレー、息子はサッカー、娘は陸上というように構成メンバーそれぞれが違うスポーツを好きな場合は複数扱いにして All my family are fond of sports. になりがちです。イギリス英語はこのタイプの集合名詞を複数扱いにする傾向が強いです。逆にアメリカ英語では単数扱いにすることが多いです。また、あくまでも話者の視点で決まるので、父親が野球、息子はサッカーという風に別々のスポーツをしていても、スポーツという大枠で同じことが好きであると観察して単数扱いにしても間違いにはなりません(My family is fond of sports.)。
また、単数にも複数にも扱われる集合名詞は、単数扱いが複数集まると複数形の複数形扱いになります。例えば、磯野家と野原家は合わせてtwo familiesになります。二世帯同居の場合に「2家族が1つ屋根の下で暮らす。」は
Two families live under the same roof.
「このマンションには70世帯いる。」は
There are seventy families in this apartment building.
になります。以下、「可算名詞/単数・複数扱い」になる代表的な集合名詞を1ダースほど紹介します。
audience 聴衆、観衆
The audience is relatively well-behaved.
観衆は比較的行儀がよい。
The audience are clapping their hands madly.
観衆は狂ったように拍手をしている。
観衆をひとまとまりと見ると単数扱いになります。観衆の顔が一人一人見えていたら複数扱いになります。
cabinet 閣僚、内閣
The President’s Cabinet is composed of the heads of the 13 executive departments.
大統領内閣は13の行政府の長で構成されている。
The British Cabinet were preoccupied with the crisis in Ulster.
英国の閣僚はアルスター地方の危機に気を取られていた。
アメリカ英語はCabinetを単数扱い、イギリス英語はCabineを複数扱いすることが多いです。
class クラス
Our class consists of 25 students.
私たちのクラスは25人の生徒から成り立っている。
My class were pleased to see me and I was really glad to be able to see them too.
クラスのみんなは私に会えて喜んでくれたし、私も彼らに会えて本当にうれしかったです。
クラスがひとかたまりに見えたら単数扱い、クラスの生徒一人一人の顔がイメージできたら複数扱いになります。
club クラブ
Our club is dedicated to helping players grow into be the best sportsmen.
当クラブは、選手が最高のスポーツマンに成長できるようにサポートしています。
Our club are delighted to announce that we are hosting the conference planned to be held next month.
当クラブは、来月開催予定の大会を主催することになりました。
クラブをひとまとめにしてみると単数扱い、クラブに属する個々のメンバーをイメージすると複数扱いになります。
committee 委員会
The human resources committee is going to meet on Friday.
人事委員会は金曜日に開かれる。
The committee have approved all bills.
委員会はすべての議案を承認した。
「委員会」がひとまとまりに見えたら単数扱い、委員会のメンバーの顔が一人一人見えたら複数扱いになります。
company 会社
This company is implanting microchips in its workers.
この会社は従業員にマイクロチップを埋め込んでいる。
Our company are dedicated to providing professional service to our customers.
わが社はお客様に専門的なサービスを提供することに専念している。
couple カップル、夫婦、恋人
The couple eats out once a month.
その夫婦は月に1回外食する。
The couple are vacationing separately this year.
その夫婦は今年は別々に休暇を過ごしている。
二人一緒に行動するときは単数扱い、別々に行動するときは複数扱い。
crew 乗組員
The crew has to use whatever means they deem necessary to accomplish the flight safely.
乗組員は安全に飛行を達成するために必要と思われる手段を何でも用いなければならない。
All crew were invited to join together for an exchange meeting.
全乗組員が一堂に会して交流会を開催した。
crowd 群衆
There was a large crowd in the park.
公園には大勢の人がいた。
The crowd were getting louder and louder.
群衆の声がどんどん大きくなっていった。
群衆がひとかたまりに見えたら単数扱い、群衆の声にバリエーションを感じることができれば複数扱いになります。
faculty 教員[陣]、教職[陣]
Faculty is responsible for classroom management, teaching strategies, testing, and evaluation of student performance.
教員は、教室の管理、教育戦略、テスト、生徒の成績評価を担当している。
Faculty in our department are widely recognized and well respected scholars, as well as innovative, effective teachers.
当学部の教員は、広く認められ、評判の高い学者であると同時に、革新的で有能な教師でもあります。
「1人の教職員」はa faculty member、「複数の教職員」はfaculty membersと言えばよいです。
generation 世代
My generation is far from apathetic.
私の世代は無気力とは程遠い。
If my generation are seeking greater flexibility, we need to create roles that allow them to have more control over their time.
私の世代がより柔軟性を求めているのであれば、彼らが自分の時間をもっとコントロールできるような役割を作る必要がある。
government 政府
Do you think that the Japanese government is engaging in currency manipulation?
あなたは日本政府が為替操作をしていると思いますか。
By the way, the Japanese government are not stupid.
ちなみに日本政府はバカではありません。
イギリス英語ではgovernment are…と表現することが多いですが、アメリカ英語ではほぼ100%でgovernment is…となります。
jury 陪審員団
The jury has reached a decision.
陪審員は判決に達した。
The jury were allowed to ask questions.
陪審員は質問をすることを許された。
juryに属する1人1人の陪審員はjuror.
public 一般の人々、公衆、国民
The public is awakening to the fact that our Government has blundered in its treatment of Korean affairs.
国民は、我が国の政府が韓国問題の扱いで失態を犯したという事実に目覚めつつある。
The public are getting restless about the austerity measures.
国民は緊縮政策に不安を感じ始めている。
staff 職員
日本語で「スタッフ」という単語が使われるので特に間違いやすいので注意してください。staffは集合名詞なので、「私はスタッフの一人です」という時に、I am a staff. とは言えません。この場合、I’m a member of the staff. もしくは I’m a staff member. となります。
The customer service staff is not available after 6:00 p.m.
午後6時以降はカスタマーサービスのスタッフは対応しておりません。
Congressional staff have occasionally been the targets of violence or threats of violence.
議会スタッフが暴力や脅迫の対象になることもある。
team チーム
This football team is the best.
このサッカーチームは最高です。
The team are fighting among themselves.
そのチームはチーム内で争っている。
チームの選手たちが一枚岩だと単数扱いですが、チームの選手たちがばらばらだと複数扱いになります。
会社名
companyと同じく、会社名も単数/複数双方で書くことができます。単数扱いにするのが無難ですが、複数扱いにすることもあります。イギリス英語で複数扱いにすることが多いようです。
Apple are selling the 16GB iPhone 4 from £499, while the 32GB model is priced at from £599.
アップル社は16GバイトのiPhone 4を499ポンドから、32Gバイトモデルを599ポンドから販売している。
集合名詞を単数扱いにすべきか複数扱いにすべきか?
[C. 数えられる名詞/単数・複数扱い]に属する集合名詞を単数扱いにすべきか複数扱いにすべきか戸惑う人も多いでしょう。基本ルールはすでに述べたように「全体をひとつのまとまりと考えた場合は単数扱い、個々の構成員に焦点が当たれば複数扱い」です。The committee has decided…だと「委員会は総意で決めた」、The committee have decided…だと「個々の委員会のメンバーによる個別の決定を経て、委員会は決めた」というニュアンスになります。
それでも迷ったらどうすべきでしょうか。迷ったら単数扱いにしましょう。2つの理由があります。第1に、[C. 数えられる名詞/単数・複数扱い]に属する集合名詞は、多くの場合は単数・複数どちらにしても間違いになりませんが、複数扱いにすると不自然な印象が出てくる場合は、単数扱いにして不自然になる場合よりもはるかに多いことです。例えば、a/ each/ every/ this/ thatなどの単数の限定詞が集合名詞につくと、必ず単数扱いになります。
A government which fails to honor its promises should not be re-elected.
公約を守らない政府は再選されるべきではない。
Every family receives rent support.
どの家庭も家賃補助を受けている。
That team is capable of winning all the major trophies this year.
そのチームは今年の主要なトロフィーをすべて獲得する実力を持っている。
また、ネイティブの多く、特にアメリカ人は「制度」に関する集合名詞を常に単数扱いにします。
The United States is… (not: The United States are…)
The Japanese government is… (not: The Japanese government are…)
Congress is meeting today. (not: Congress are meeting today.)
個々のメンバーに焦点を当てる場合は、最後の例だと Congress are meeting today. とするのではなく、The members of…をつけ加えて、The members of Congress are meeting today. としましょう。Congress members are…としてもかまいません。このように[C. 数えられる名詞/単数・複数扱い]の属する集合名詞は常に単数扱いにし、集合名詞を複数扱いにしたいときはthe members of…を加えるという方策でほとんど解決します。
The members of the family are each doing a separate chore.
家族はそれぞれ別の家事をしている。
The members of the orchestra are tuning their instruments.
オーケストラのメンバーは楽器の調律をしている。
The staff members disagree on the proposal.
その提案については、スタッフの意見が一致していない。
アメリカ人が単数扱いにしがちというのは、逆に言えば、[C. 数えられる名詞/単数・複数扱い]の属する集合名詞を複数扱いにしがちなのはイギリス人とブリティッシュイングリッシュを使う人たちに限られているということです。アメリカ人は意味から「単数・複数のどちらにしようか」いちいち考えずに文法の形式に従おうとする傾向が強いです。familyとfamiliesは現在形ではfamily is, family are, families areのいずれかになりますが、ほとんどのアメリカ人はfamily is, families areとしか表現しません。複数扱いにしたいときはfamily are…ではなく、family members are…と言おうとします。日本の英語学習者の大半はイギリス英語ではなく、アメリカ英語を軸に勉強しているので、集合名詞もアメリカ英語を基準にすることをお勧めします。