adolescentを「青年」、「青年期の」、adolescenceを「青年期」という意味で覚えている人が多いようです。なぜかと思い市販の英単語集を確認してみたら、『英単語ターゲット1900』、『速読英単語』、「英単語WIZ1900』でそう書かれていました。今どきの高校生は受験英語学習でadolescentが「青年」という意味だと習うようです。
ちなみにadolescentは発音にも注意してください。
デジタル大辞泉によれば、青年は「青年期の男女。10代後半から20代の、特に男子をいうことが多い。若さを強調する場合には30代にもいう 」そうです。確かに30代前半の社長を「青年実業家」と呼んでも全く問題がありません。しかし、英語で20代・30代の人をadolescence/adolescentとは言いません。
『涼宮ハルヒの憂鬱』でキョンがぼやく場面です。
「女子と肩を並べて下校する、なんてのは・・・・・・実に学生青春ドラマ的で、オレだってそういう生活を夢に見なかったかって言うと嘘になる。オレは現在その夢を実現させているわけなのだが、ちいっとも楽しくないのはどうしたことだろう。」
英語版ではこう訳されています。
Walking home after school, side by side with a girl. Sure that sounds like a typical scene out of some show about teen-age adolescence. But I’d be lying if I said I’d never dreamt of doing that. And right now, it looks like I’m making that dream a reality. Yeah, so why am I not happy about it.
walk home=歩いて帰る; side by side=並んで; sound like=~のようだ; typical=典型的な; dream=dreamの過去分詞。※イギリスではdream-dreamt-dreamt、アメリカではdream-dreamed-dreamedと語形変化します。
ここで「学生青春」がteen-age adolescenceと意訳されています。キョンとハルヒはこの時、高校1年生です。高1生を青年扱いすることはあまりないので、adolescence/adolescentを「青年」という意味で覚えると、この訳は不自然に感じられます。しかし、おかしくはありません。adolescenceは「青年」ではなく、the period of time in a person’s life when they are developing into an adultという意味だからです。「子供が大人になるまでの過渡期、つまり12歳から20歳位まで」がadolescenceであり、その過渡期にいる人がadolescentなわけです。adolescentと「青年」が重なる年齢もありますが、12~15歳くらいのadolescentを「青年」と呼ぶのはおかしいし、20代後半の青年をadolescentと言うのも間違いです。よいこの皆さんは、英単語の意味を間違って覚えないように気をつけましょう。adolescenceを「青年期」と訳すのが妥当な時もありますが、基本、adolescenceは「青年期」と合致しません。成人式の後も「青年」であり続けることができますが、成人してadultになったらadolescentでなくなります。
contributeやanniversaryなどの日本語で意味を覚えると語感がずれる英単語は『6カ月で英単語・語法・英文法完全マスター』講座でも数多く取り上げています。興味がある方は以下の記事もお読みください。