修辞疑問とは、疑問文の形をしているにもかかわらず、相手に何かを訪ねているのではなく、自分が言いたいことを相手に納得させるために反語的に疑問形で言い方です。肯定形の修辞疑問では否定の意味に、否定形の修辞疑問では肯定の意味になります。
修辞疑問とは何か?
修辞疑問とは、疑問文の形をしているにもかかわらず、相手に何かを訪ねているのではなく、自分が言いたいことを相手に納得させるために反語的に疑問形で言い方です。肯定形の修辞疑問では否定の意味に、否定形の修辞疑問では肯定の意味になります。 通常の疑問文と修辞疑問文は形が同じなので、どちらかは文脈で判断しないといけません。
Who likes Izumi Pinko?
だと疑問文では「誰が泉ピン子を好きですか?」、修辞疑問文では「どこのどいつが泉ピン子を好きだって?」→「泉ピン子を好きな人なんていないよ」という意味になります(ちなみに私は泉ピン子を好きでも嫌いでもありません)。
Who doesn’t like sushi?
だと疑問文では「誰が寿司を嫌いなのですか?」、修辞疑問文では「どこのどいつが寿司を嫌いだって?」→「寿司を嫌いな人なんていないよ。」という意味になります。
以下、いくつか例文を見てみます。
否定の意味を表わす肯定の修辞疑問文
And my seat just happens to be in front of her. I mean, can you blame me for wanting to exploit the seating arrangements so I could, um, get to know her better?
happen to=たまたま~だ; in front of=~の前に; I mean=つまり、いやその、ええと;
blame A for B=AのBを責める; exploit=~を(不当に)利用する; seating arrangement=席順; get to know A better=Aを一層知るようになる
『涼宮ハルヒの憂鬱』での場面です。教室でキョンのすぐ前には美少女のハルヒが座っています。このラッキーな席順を利用して彼女に話しかけてもいいじゃないか、そんな自分を誰が責めることができようか、とキョンはつぶやいています。 Can you blame me…?は 肯定の形の修辞疑問なので 「私を責めることはできますか」ではなく「誰も私を責めることができない」という意味になります。
次は『風の谷のナウシカ』でユパ様やナウシカが風の谷に戻ってきた場面です。
“I agree. Who else would rescue me when I’m in trouble?”
agree=同意する; rescue=救う、救助する; be in trouble=困難な状態にある
ナウシカが腐海に一人で行くのは危険だとミトが言うと、ナウシカがそのおかげで王蟲の殻を見つけたと言い返します。するとユパも「そうとも、わしもそれで助けられたのだからな。」と言います。Who else…?は「ほかに誰が~であろうか?」という修辞疑問でよく使われる表現です。Who else would rescue me when I’m in trouble? は、ただの疑問文であれば「困ったときに、他に誰が助けてくれるの?」という問いになりますが、これは修辞疑問で「ナウシカ以外に自分を助けることができる者はいない」という意味になっています。
肯定の意味を表わす否定の修辞疑問文
アリエッティが父親ポッドと人の家に盗みに行くと(借りに行くと)素敵なドレッサーを見つけます。
Oh, but it’s so perfect for us. Don’t you think Mother would absolutely love that dresser over there?”
absolutely=絶対に; over there=あそこに
ここでのDon’t you think…?は「あなたは~を思いませんか?」ではなく、修辞疑問の「思わないわけないだろう」 という意味になります。アリエッティが父親のポッドに、お母さんはあのドレッサーを絶対気に入るに違いないと言っているわけです。ちなみに英語のdresserは日本語の「ドレッサー」と意味が異なります。この点については以下の記事をお読みください。